Lynch症候群に対する初の標的治療薬候補のヒト臨床試験が開始へ
Modernaと英国のオックスフォード大学は、遺伝性疾患であるLynch症候群に対する初の標的治療薬候補のヒト臨床試験を開始する承認を得ました。Lynch症候群は、生涯にわたる複数の癌の発症リスクを高める遺伝性疾患です。
試験の詳細
薬剤名: ModernaのmRNAベースワクチン候補「mRNA-4194」
試験名: フェーズ1/2 INTERCEPT-Lynch試験
開始時期: 数週間以内にオックスフォード大学の臨床試験ユニットで最初の患者への投与が開始されます。
フェーズ2: 2027年以降に、初期有効性データを提供するフェーズ2が英国全土の複数施設で実施される予定です。
Lynch症候群の現状
罹患率: イングランドでは約400人に1人(約175,000人)がLynch症候群と推定されています。
認識度: わずか5%の罹患者しか自身の状態を認識していません。
癌リスク: 生涯癌リスクは最大80%に達します。
原因: DNA修復に関わる遺伝子の変異が原因で、細胞にDNAエラーが蓄積し、癌につながります。
関連癌: 大腸癌、子宮内膜癌、卵巣癌、胃癌、前立腺癌など、複数の固形腫瘍のリスクを高める最も一般的な遺伝性素因疾患です。
現在の治療: 早期発見のためのサーベイランス、予防のための低用量アスピリン、予防的または腫瘍発生時の手術に限られています。
mRNA-4194のメカニズムと期待
mRNA-4194は、Modernaの癌ワクチンプラットフォームを基盤としており、前癌細胞に関連する複数の分子標的に対する免疫応答を生成し、癌が最初に発生するのを防ぐことを目指しています。初期試験では安全性と免疫原性が評価され、良好な結果が得られれば、さらなる試験のための用量が決定されます。
背景と意義
本試験は、Modernaと英国政府との10年間のパートナーシップの一環であり、英国のmRNA技術能力とパンデミック対策の強化を目的としています。研究主任のデビッド・チャーチ教授は、「Lynch症候群の患者は、一般人口よりも若年で癌を発症するリスクが非常に高く、INTERCEPT-Lynch試験は、Lynch症候群関連癌が発症する前に予防する努力における重要な一歩となる」と述べています。