フィットネスアプリは患者の健康増進に役立つ一方で、逆効果をもたらす可能性が指摘されています。British Journal of Health Psychologyに掲載された研究では、商用フィットネスアプリのユーザーがソーシャルメディア上で報告した否定的な行動的・心理的影響が明らかになりました。
研究の背景と方法
研究者らは、AIの機械支援型トピック分析を用いて、X.com上の最も収益性の高いフィットネスアプリに関する58,881件の投稿を分析しました。
研究結果:ネガティブなテーマと心理的影響
分析の結果、以下の否定的なテーマが浮上しました。
- ダイエットや身体活動の定量化の難しさ
- 過度に単純化されたアルゴリズムによるカロリーや運動追跡の複雑さ
- 技術的な問題や誤作動
- アプリの通知に対する嫌悪感
これらのテーマに基づき、一部のフィットネスアプリユーザーは、失望、羞恥心、モチベーションの欠如、そして健康行動やアプリ自体への関心の喪失を示していることが判明しました。研究の責任著者であるユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのPaulina Bondaronek博士は、「アプリが課す厳格な目標を達成できないとき、多くのユーザーが羞恥心、罪悪感、不満を経験する」と述べ、これらの感情がモチベーションと幸福感を損ない、完全に諦めることにつながる可能性を指摘しています。ユーザーは、カロリー記録の通知に「しつこい」と感じたり、進捗が遅いことに失望したり、「悪い」とみなす食べ物の記録に抵抗を感じたりしていました。
ウェルビーイングを優先したアプリデザインの必要性
Bondaronek博士は、研究結果がウェルビーイングと内発的動機付けを優先するアプリデザインの必要性を示唆していると述べています。「真の健康行動変容は、外部からの圧力や失敗への恐れではなく、楽しさ、意味、個人的価値観によって導かれるときに、より持続可能になります。」と彼女は強調しました。アプリによる追跡が自己監視のようになると、ユーザーを遠ざける可能性があります。アプリデザインは、自己肯定感、柔軟性、社会的つながりをサポートするべきだと、Bondaronek博士は提言しています。
臨床現場での活用と患者へのアドバイス
ペン・メディシンのJohn Vasudevan医師は、この研究がAIを活用してソーシャルメディアからフィットネスアプリの実践的な課題や、患者が医師に打ち明けにくい不安や罪悪感のような感情を明らかにした点を評価しています。ただし、ソーシャルメディアの情報源は、極端な成功談や失敗談に偏りがちであるという注意点も共有されています。
患者がフィットネスアプリについて相談してきた場合、医師は以下のメッセージを伝えることができます。
- アプリは成功のための枠組みに過ぎない:休暇や怪我など、生活の多様な状況には対応できない。
- 異なる目標の適用を説明する:減量、フィットネス、長寿など、目標によって異なる戦略が必要となる。
- 自分を許すようアドバイスする:失敗は避けられないものであり、成功には過去ではなく未来を見る規律が必要。
- サポートシステムを構築する:医師や周囲の人々からのサポートを求め、困難に直面しているのは自分だけではないと伝える。
元記事:Research Asks Whether Fitness Apps Do More Harm Than Good