FDI世界歯科大会プラハ開催と歯科医療の未来
2026年FDI世界歯科大会がチェコ・プラハで初開催され、チェコ歯科医師会のRoman Šmucler会長が歯科医療の未来について語った。Šmucler会長は、AI、ロボット工学、デジタルワークフローが歯科医療を再構築しており、臨床ケア、歯科教育、そしてその将来の方向性を再考する必要があると強調した。
歯科医療の変革:技術と医療への回帰
歯科医療は「削って詰める」という技術的な職業から大きく変化している。多くの地域でう蝕経験が減少する一方、歯科医療における医学的側面が重要性を増している。Šmucler会長自身も医学博士であり、この背景がますます有用になっていると述べた。
AIの役割: AIは飛躍的に進化しており、将来的には臨床医がAIを使用しないことがリスクとなる可能性がある。患者ごとの膨大な情報を分析し、これまで不可能だったレベルでの個別化されたケアを提供できるため、AIの適切な利用法と倫理的側面を学ぶ必要がある。
ロボット工学の重要性: ロボットは、インプラント治療を含む特定の処置を高い精度で支援するようになるだろう。これにより、トレーニングが効率化され、若手歯科医師もより早く高い水準の処置を行えるようになる可能性がある。しかし、技術企業任せにせず、歯科専門職が積極的にその発展を形成していく必要がある。
歯科教育と知識伝達の変化
知識伝達は大きく変化している。過去には経験豊富な教授の知識が失われることがあったが、現在ではデジタルシステムとAIによって、より多くの蓄積された知識を保持・共有できる。歯科教育もAIによって個別化され、学生の好みや強み・弱みに合わせて集中的に学習できるようになっている。
チェコ歯科医療と国際協力
チェコ共和国は質の高い歯科医療の伝統があり、歯科は国内で最も人気のある学問分野の一つとして高い評価を得ている。比較的若い歯科医師が多いことも特徴で、プラハだけでも多くの歯科医師がおり、競争が激しいため高い水準が維持されている。Šmucler会長は、FDI世界歯科大会がチェコ歯科医療に誇りをもたらし、国際協力の機会を創出することを期待している。
デジタル変革の責任ある推進と専門組織の役割
EUが資金提供する研究プロジェクトでは、頭頸部がん診断におけるAIの利用や、カメラ内蔵のAI支援歯ブラシ技術による家庭での口腔内モニタリングなどが進められている。これにより、予防が大きく変革され、迅速なトリアージが可能になる。
歯科医療のデジタル変革において、専門組織は技術開発を止めるのではなく、その安全な利用のための指針を提供する必要がある。過度な規制はイノベーションの障壁となる可能性がある。AIを「知的パートナー」として活用し、思考を深めるツールとして捉えることが重要である。
口腔健康と全身の健康の統合
口腔健康は全身の健康と不可分であるべきであり、歯科医療は医学の一部として理解される必要がある。歯科医療が医学から分離しすぎている現状を憂慮し、将来的には純粋に技術的なタスクの多くが自動化されるため、医学的知識が歯科医療においてさらに重要になると主張した。歯科医師、耳鼻咽喉科医、その他の医師は、同じ患者を診る異なる専門分野であり、同じ医療システム内で機能する必要がある。
元記事:Dr Roman Šmucler: “Dentistry cannot prevent technological change”