緑内障と認知症リスクの関連性
研究の概要
緑内障と診断された人々は、そうでない人々と比較して認知症を発症するリスクが23%高いことが示されました。このリスク増加は、アルツハイマー病と血管性認知症の両方で認められ、緑内障のサブタイプ(原発開放隅角、正常眼圧、閉塞隅角)やアポリポタンパク質E(APOE)遺伝子型に関わらず関連性が持続しました。
本研究は、緑内障患者における認知症およびそのサブタイプの発症リスクを評価するために、レトロスペクティブな長期コホート研究として実施されました。
対象者: 9444人の緑内障患者と、年齢、人種、民族、性別に基づいてマッチングされた37776人の非緑内障対照群。緑内障診断前に認知症と診断された者は除外されました。
方法: 全ゲノムシーケンシングデータも活用し、アルツハイマー病の最も強力な遺伝的リスク因子であるAPOE遺伝子型(epsilon 2/epsilon 2, epsilon 2/epsilon 3, epsilon 2/epsilon 4, epsilon 3/epsilon 3, epsilon 3/epsilon 4, epsilon 4/epsilon 4)による層別解析も行われました。
追跡期間: 中央値で6.5年。
主要な発見
全原因認知症: 緑内障患者は対照群と比較して、全原因認知症のリスクが有意に高かった(調整ハザード比 [aHR], 1.23; 95% CI, 1.08-1.40)。
アルツハイマー病: リスクは1.60倍(aHR, 1.60; 95% CI, 1.26-2.02)に増加しました。
血管性認知症: リスクは1.38倍(aHR, 1.38; 95% CI, 1.04-1.83)に増加しました。
緑内障サブタイプとの関連
原発開放隅角緑内障と正常眼圧緑内障は、アルツハイマー病のリスク増加と有意に関連していました(それぞれaHR, 1.48; 95% CI, 1.11-1.96 および aHR, 1.87; 95% CI, 1.09-3.18)。
閉塞隅角緑内障は、全原因認知症のリスク増加と関連していました(aHR, 1.31; 95% CI, 1.03-1.67)。
APOE遺伝子型別の分析
APOE遺伝子型別の分析では、全原因認知症のリスク増加が最も大きかったのはepsilon 2/epsilon 3キャリア(aHR, 1.76; 95% CI, 1.11-2.79)で、次いでepsilon 3/epsilon 3(aHR, 1.45; 95% CI, 1.19-1.75)およびepsilon 3/epsilon 4(aHR, 1.43; 95% CI, 1.09-1.87)キャリアでした。
研究の意義と限界
研究者らは、「緑内障は、人口統計学的にマッチングされた対照コホートを使用し、併存疾患を調整しても、認知症のリスク増加と関連していた。我々の結果は、緑内障と認知症リスクの関連性を示した先行するメタアナリシスと一致する」と報告しています。
限界点
自己申告データへの依存: 緑内障や認知症の症例が見逃された可能性があります。
眼科医療へのアクセス制限: 一部の参加者における緑内障の過小診断または誤診につながった可能性があります。
- 追跡期間の短さ: 長期的な関連性の評価に限界がありました。