FDA、ベーリンガーインゲルハイムのネランドミラスト(Jascayd)を特発性肺線維症(IPF)治療薬として承認
米国食品医薬品局(FDA)は、ベーリンガーインゲルハイムのネランドミラスト(ブランド名:Jascayd)を特発性肺線維症(IPF)の治療薬として承認しました。これは、同社の主力治療薬であるOfevの後継となる製品です。
Jascaydの概要と重要性
Jascaydはホスホジエステラーゼ(PDE)4B阻害剤であり、成人IPF患者に対し1日2回の経口投与で処方されます。優先審査を経て承認されたこの薬剤は、IPF治療薬としては10年以上ぶりの新薬であり、進行性の肺疾患に対する新しい作用機序を提供することから、FDAより画期的な指定を受けていました。
IPFの現状と既存治療薬
IPFは肺が瘢痕組織によって徐々に損傷され、呼吸が困難になる進行性の疾患で、一般的に不治の病とされており、診断からの平均生存期間はわずか3〜5年です。現在、最も広く使用されているIPF治療薬は、ベーリンガーのOfev(ニンテダニブ)とロシュのEsbriet(ピルフェニドン)で、これらはいずれもキナーゼ阻害剤です。Ofevは昨年38億ユーロの売上を記録しましたが、2029年頃には特許保護が失効する予定です。
臨床成績と副作用プロファイル
FIBRONEER-IPF試験(New England Journal of Medicineに掲載)では、Jascaydによる治療がプラセボと比較して、52週間の追跡期間で肺機能(強制肺活量:FVC)の低下を遅らせることが示されました。既存薬のOfevとEsbrietも肺機能低下を遅らせますが、特にOfevは消化器症状などの高い副作用負担が関連しており、両薬剤とも中止率が高いという課題があります。Jascaydの第3相試験における主な副作用は下痢でしたが、有害事象による中止率はプラセボと同程度でした。
ベーリンガーは、進行性肺線維症(PPF)患者を対象とした第3相試験FIBRONEER-ILDも実施しており、これらの患者に対するJascaydのFDA承認も申請済みです。先月発表された両試験の統合データでは、ネランドミラスト18mg単剤療法を受けた患者において、プラセボと比較して死亡リスクが59%減少しましたが、統計的有意性にはわずかに届きませんでした。
承認範囲と商業的見通し
Jascaydは広範な適応で承認されており、未治療患者や既存薬に耐えられない患者に対する第一選択の単剤療法、または医師の裁量による併用療法として使用される可能性があります。ただし、Ofevとの併用では副作用率が上昇する可能性が示唆されています。
Jascaydの商業的潜在力については、一部のアナリストから議論が続いています。現在の治療法からの改善が「控えめ」であり、治療方針を大きく変えるほどではないと見られているためです。例えば、Leerink Partnersは、JascaydがOfevよりも「わずかに優れている」ものの、早期の切り替えを促すには不十分であり、併用時の下痢増加が足かせとなる可能性を指摘しています。米国での価格や発売日は現時点では未発表です。
元記事:Boehringer bags FDA okay for new pulmonary fibrosis drug
