HNSCCにおける術前免疫療法と化学療法の使用トレンド:全国コホート研究
研究概要と目的
切除可能な頭頸部扁平上皮癌(HNSCC)患者において、術前全身療法(ネオアジュバント療法)の利用状況、特に免疫療法の使用トレンドを評価することを目的とした全国コホート研究。術前全身療法は、遠隔転移リスクの低減と臓器温存のためにHNSCC患者の決定的な手術前に投与される。
研究方法
National Cancer Databaseを用い、2004年1月から2022年12月までに治療を受けた米国のHNSCC患者312,748人のデータを分析した。患者の平均年齢は63歳、69.8%が男性であった。がんの種類としては、口腔がんが68.3%、咽頭がんが21.3%、喉頭がんが21.2%を占めた。
主要な知見
術前全身療法の全体的使用状況: 研究期間中、1989人(0.6%)の患者が術前全身療法を受けた。そのうち69.0%が化学療法、36.5%が免疫療法、5.5%が両方を受けた。
免疫療法の顕著な増加: 術前免疫療法の初回記録は2007年で、当時の使用率はわずか0.02%であった。2013年から免疫療法の使用が著しく増加し、0.14%から2019年にはピークの0.73%に達した。2022年には0.27%に減少したが、これはCOVID-19パンデミックの影響が考えられる。
化学療法の減少: 対照的に、術前化学療法の使用は2004年から2022年の間に0.52%から0.30%へと有意に減少した(P < .001)。
年次トレンド: 2007年から2022年にかけて、人口統計学的・臨床的共変量を調整後、術前免疫療法を受ける確率は年間22.5%増加した。一方、術前化学療法を受ける確率は年間2.5%減少した。
- アクセスにおける格差: 免疫療法を受ける可能性が高い患者は、学術センターで治療を受ける傾向があり(76.3% vs 52.0%; P < .001)、高所得地域に居住し(35.5% vs 30.5%; P < .001)、民間保険に加入している傾向があった(47.1% vs 40.2%; P < .001)。また、免疫療法を受けた患者は、受けなかった患者と比較して、黒人と認識される割合が低かった(4.5% vs 6.9%; P = .01)。
臨床的意義と課題
本研究は、HNSCCにおける術前免疫療法の採用が増加していることを示しており、これは腫瘍学の広範な変化を反映している。COVID-19パンデミックがこの傾向を一時的に鈍化させた可能性があるものの、今後の臨床試験が根治を目的とした一次治療における免疫療法の標準治療を形成すると考えられる。しかし、免疫療法へのアクセスにおける格差も浮き彫りになっており、すべての適格患者が治療の進歩から恩恵を受けられるよう、是正の必要性が強調されている。
研究の限界
本研究は後ろ向き観察研究であり、選択バイアスが存在する可能性がある。National Cancer Databaseに含まれる患者は、HNSCC患者全体と系統的に異なる場合がある。また、p16およびHPVステータスはデータベース内で一貫して報告されておらず、調整モデルの固定効果には含まれていなかった。
