成人矯正治療におけるアライナー治療の活用

成人矯正治療におけるアライナーの活用:症例報告

成人矯正治療の現状とアライナーの台頭

成人矯正治療は矯正歯科分野で最も成長している領域の一つであり、多くの患者が治療を求めています。ティーンエイジャーとは異なり、成人患者は審美性を重視する傾向があり、固定式装置を避ける傾向があります。そのため、クリアアライナー透明ブラケットの人気が高まっています。アライナー治療の技術進歩により、従来の課題であった治療期間の長さやアンカレッジの不足が改善され、効率性と快適性が向上しています。

デジタルワークフローとアライナー治療の利点

口腔内スキャンなどのデジタルワークフローは、印象採得を容易にするだけでなく、患者との視覚的なコミュニケーションツールとしても活用され、治療の期待値設定に大きく貢献しています。

成人患者の治療には、修復された歯、歯周病、全身疾患、口腔習癖、喫煙や飲酒などのライフスタイルといった特有の課題が伴います。アライナー治療は、その快適性、衛生管理の容易さ、食事制限の少なさ、期待される治療結果の予測可能性から、これらの課題に対する有効な解決策として注目されています。

症例報告:66歳女性患者

本記事では、66歳女性の症例が報告されています。

  • 主訴: 下顎右側犬歯の交叉咬合による顎運動の干渉、歯の移動、審美性の懸念。
  • 既往歴: 歯ぎしりに関連する両側顎関節痛(TMD)、扁平苔癬。
  • 治療目標:
  • 下顎右側犬歯の交叉咬合の解消
  • 後方部の修復された咬合の維持
  • 叢生の解消
  • 過蓋咬合およびオーバージェットの改善
  • 下顎正中線の改善
  • 笑顔の審美性の向上
  • 上顎切歯のトルク改善による機能的包絡線(envelope of function)の改善
  • アライナー選択の理由: 患者は、固定式装置による食事制限や口腔衛生の困難さ、扁平苔癬による粘膜刺激の可能性、およびTMD症状の悪化リスクを懸念し、アライナー治療を強く希望しました。治療中にアライナーを取り外せる柔軟性が、TMDの急性増悪時において重要な決定要因となりました。
  • 治療計画と実施:
  • デジタル治療計画(TRIOS口腔内スキャナー、CBCTスキャン、写真)を採用。口腔内スキャンは患者の快適性を高め、TMD症状の悪化リスクを低減。
  • ClearCorrectシステムを使用。患者の扁平苔癬の既往を考慮し、アタッチメント(エンゲージャー)の使用を制限し、治療期間を短縮。
  • 初期12ステップのアライナー治療(6ヶ月)、その後3ステップのリファインメント(6週間)を実施。合計15セットのアライナーを9ヶ月間装着。
  • 下顎前歯部の歯間削合(IPR)と舌側傾斜の改善により、叢生と交叉咬合を解消。
  • 治療結果:
  • 9ヶ月の治療で患者の主訴が解決し、目標が達成されました。
  • 歯列弓の対称性、叢生、過蓋咬合が改善され、オーバージェットと下顎右側犬歯の交叉咬合も改善。
  • 患者のTMD症状は安定しており、審美性の大幅な向上と治療経験への高い満足度が報告されました。

結論

ClearCorrectアライナーは、患者の期待に応える治療結果を短期間で提供しました。独自のアライナーデザインと材料、選択的なIPR、そして高い患者のコンプライアンスが、叢生と交叉咬合の解消、咬合と審美性の向上、TMD症状の安定に繋がり、優れた治療経験をもたらしました。

元記事:Digital workflows for complex adult aligner treatment