高齢者におけるBMIと肝臓の硬さ上昇リスクのU字型関係
研究の概要
高齢者において、BMIと肝臓の硬さ上昇リスクの間にU字型の関係が認められ、低BMIと高BMIの両方がリスク増加と関連していることが示されました。過渡的エラストグラフィーで測定された肝臓の硬さ上昇リスクが最も低い最適なBMI範囲は21.8-24.3でした。
研究方法
近年の研究では肥満と肝臓の硬さ上昇との関連が指摘されていますが、低BMIにおける関連性は一貫せず、長期的なBMIトレンドの影響は不明でした。本研究では、60歳以上の2736人の参加者を対象に、長期的なBMIパターンと肝臓の硬さ上昇リスクとの関連を調査するコホート研究を実施しました。
- 対象者: 2017年から2022年の間に少なくとも3回の身体検査を受けた60歳以上の参加者。慢性肝疾患やアルコール依存症などは除外されました。
- BMIの評価: 5年間の平均BMIを以下の5つの五分位に分類しました。
- 五分位1: ≤ 21.92
- 五分位2: 21.93-23.58
- 五分位3: 23.59-24.92
- 五分位4: 24.93-26.79
- 五分位5: ≥ 26.80
- 肝臓の硬さの測定: ベースライン時に過渡的エラストグラフィーを用いて測定され、7.0 kPaを超える値が肝臓の硬さ上昇と定義されました。
主な結果
- BMI五分位と肝臓の硬さ上昇:
- BMI五分位2(21.93-23.58)の参加者が、肝臓の硬さ上昇の有病率が最も低かった(7.5%)。
- BMI五分位2と比較して、高BMI五分位の参加者では肝臓の硬さ上昇リスクが増加しました。
- 五分位4 vs 五分位2: 調整オッズ比 [aOR], 2.05 (95% CI, 1.37-3.11)
- 五分位5 vs 五分位2: aOR, 2.82 (95% CI, 1.78-4.39)
- BMIの長期的な推移と肝臓の硬さ上昇:
- 2017年から2022年の間に、5つのBMI推移パターンが特定されました。
- 低~正常体重安定 (7.42%)
- 中程度~正常体重安定 (29.10%)
- 低レベル過体重安定 (36.22%)
- 高レベル過体重安定 (20.32%)
- 安定肥満 (6.94%)
- 「中程度~正常体重安定群」と比較して、「安定肥満群」で肝臓の硬さ上昇の有病率が最も高く (aOR, 2.83; 95% CI, 1.72-4.64)、次いで「高レベル過体重安定群」でした (aOR, 2.02; 95% CI, 1.39-2.97)。
- U字型関係: 制限付き三次スプライン分析により、BMIと肝臓の硬さ上昇リスクの間にU字型の関係が明らかになり、BMI 21.8-24.3でリスクが最も低く、それより低いBMIと高いBMIの両方でリスクが増加しました。
結論と実践への示唆
本研究の著者らは、「高齢者において、5年間にわたり低体重および高体重を維持することは肝臓の硬さ上昇リスクを高め、肝臓の硬さ上昇リスクが最も低い最適なBMI範囲は21.8~24.3 kg/m2である」と述べています。
研究の限界
肝線維症診断のゴールドスタンダードである肝生検は実施されていません。また、肝臓の硬さは5年間にわたり連続して測定されたわけではありません。さらに、参加者はすべて中国人であったため、本研究の結果が他の民族に直接適用できるかは限定的である可能性があります。
元記事:BMI Shows U-Shaped Link to Liver Stiffness in Older Adults