英国の子どもの口腔健康の危機:10年で最も不健康な世代の懸念
英国では、子どもの約4分の1が明らかな虫歯を抱えており、「過去数十年で最も不健康な世代」になるリスクが指摘されています。これは、2024年7月14日に発表された「State of Child Health 2026」報告書の一部として、王立小児科・小児保健大学(RCPCH)が公表した子どもの口腔健康に関する広範な報告書で明らかになりました。
現状と地域差
2024年現在、スコットランドとウェールズでは子どもの虫歯の割合が27%と最も高く、イングランドでは22%でした。北アイルランドは2018年以降の口腔健康データを収集しておらず、報告書には含まれていません。過去数十年間で子どもの口腔健康は改善したものの、2020年から2024年の間には虫歯の減少がほとんど見られませんでした。
虫歯による抜歯はNHS(国民保健サービス)にとって依然として大きな負担であり、イングランドでは5歳から9歳児の入院原因のトップとなっています。ウェールズでは、2023-24年に3,500人以上の子どもが全身麻酔下で抜歯を受けています。
リスク要因
剥奪(貧困)は、英国全体で口腔健康不良の重要な予測因子であることが示されています。
- スコットランドでは、最も貧しい地域の子どもの虫歯発生率が40%であったのに対し、最も裕福な地域では16%でした。
- イングランドでも同様の格差が見られ、最も貧しい地域では32%、最も裕福な地域では14%でした。
また、民族的格差も顕著であり、イングランドではアジア系またはアジア系英国人の子どもが37.7%、その他の少数民族グループの子どもが45.4%と、最も虫歯になる可能性が高いことが報告されています。
高水準の虫歯の背景にある潜在的な要因としては、以下の点が挙げられます。
- 剥奪地域におけるNHS予防歯科サービスへのアクセス制限
- 特に低所得世帯の子どもにおける高糖分摂取
- 推奨量を超える糖分を含むことが多い市販のベビーフードや飲料
- 定期的な歯磨きなど、早期の口腔衛生習慣の欠如
- 虫歯や入院を減らす効果が示されている水道水フッ化物添加の恩恵への不平等なアクセス
影響と費用
RCPCHは、口腔健康不良が子どもの生活に広範な影響を与えることを強調しています。虫歯のある子どもは、以下のような経験をする可能性があります。
- 痛みと感染症
- 食事、睡眠、会話の困難
- 遊びや社交性の低下
- 学校の欠席増加
- 放置された場合の歯科膿瘍や敗血症を含む重篤な合併症のリスク
個々の子どもの生活に影響を与えるだけでなく、口腔健康不良は政府に多大な費用を発生させています。報告書は、イングランドにおける0歳から19歳の子どもの抜歯にかかる費用が、2024年にはNHSに7,480万ポンドかかると推定しています。
改善のための提言
RCPCHは、子どもの口腔健康に関する予防策を改善するために、政府に対し以下の要求を行っています。
- NHSの歯科治療能力を向上させ、すべての子どもが1歳までに歯科受診できるようにすること
- イングランドにおける地域水道水フッ化物添加を拡大すること
- 特にスコットランドの「Childsmile」プログラムを通じて、監督下での歯磨きプログラムを拡大すること
- 規制を通じて、市販のベビーフードや飲料の糖分を削減すること
- 予防歯科サービスに投資し、ケアへのアクセス格差に取り組むこと
また、歯科専門家に対しては、すべての子どもが1歳の誕生日までに歯科医を受診するよう奨励し、早期の良好な口腔衛生習慣の採用を促進し、家族に糖分の多い食品や飲料を制限するよう助言することを推奨しています。
元記事:Progress has stalled on children’s oral health, report warns