英国歯科業界における人材不足と海外人材採用規制の影響
ダンファームラインで歯科医院を経営するデビッド・チョン・クワン氏は、約5年間、10ある診療室のうち2、3室が空いたままであり、「完全に機能しているとは言えない」状況にあると述べています。これは、海外からの歯科看護師採用が停止されたことで、国内での人材育成が追いつかない現状が背景にあります。
歯科看護師ビザ付与の95%減少
内務省のデータによると、スキル労働者ルートの変更後、歯科看護師に対するスポンサー付きビザ付与が95%減少しました。2025年第4四半期から2026年第2四半期にかけてのビザ付与はわずか6件で、以前の3四半期での122件から激減しています。これは、2025年7月22日に導入された移民規制の変更により、歯科看護師、歯科衛生士、歯科技師が基本的に新たなスキル労働者としてのスポンサーシップの対象外となったためです。
デビッド氏は「歯科看護師ビザルートの閉鎖は災害だ」と批判しています。ビザ申請中に停止され、必要なスキルを持つ戦争難民の歯科医も採用できなかった事例を挙げています。
国内育成の限界と海外人材の価値
デビッド氏は自身の医院で100人以上の歯科看護師を育成してきましたが、「本当に良い看護師は不足している」と感じています。国内での訓練だけでは需要を満たすのに十分な経験を持つ人材が供給されていないと指摘し、訓練の拡大には資金が必要だが、現状では十分な訓練が行われていないと述べています。
一部の医院では、海外資格を持つ歯科医を歯科看護師として採用し、英国での歯科医登録を支援する形で人材を確保する動きもありました。デビッド氏も、歯科知識と経験を持つ人材を歯科看護師として採用することは、ビジネスオーナーとして「非常に有利」であり、数年後には歯科医になる可能性もあるため「双方にとって良い」と語っています。
英国歯科医療における海外人材への依存
デビッド氏の医院で働く歯科看護師の中には、ウクライナで歯内療法医として働いていた人もおり、英国での歯科医登録を目指しながら貢献しています。彼女の事例は、国際的な訓練を受けた歯科専門家が英国登録を目指す間に貢献できる可能性を示しています。
英国の歯科業界は海外人材への依存度が高く、2025年に総合歯科評議会に新規登録した歯科医の半数以上(53%)が海外資格保有者でした。政府は2027年から50の歯科学校定員を追加する計画ですが、資格取得には数年かかるため、差し迫った人材危機を解決するには不十分だとデビッド氏は指摘しています。
デビッド氏は、国内での訓練拡大の必要性を認めつつも、国内育成が需要を満たす前に海外からの採用を制限する決定は「自傷行為だ」と強く批判しています。
元記事:‘Closing the dental nurse visa route has been a disaster’