英国人医師、燃え尽き症候群を機に海外へ:本当に「隣の芝生は青い」のか?
多くの英国人医師が、国内の医療システムにおける燃え尽き症候群とウェルビーイングへの影響を理由に海外でのキャリアを模索している。
NHSを離れた医師の体験談:クリス・グレイストン医師
2020年、クリス・グレイストン医師はNHSでの2年半の勤務でストレスと圧倒感に苦しみ、燃え尽き症候群を経験した。「正直、そこにいたほぼすべての瞬間が嫌いだった」と彼は語る。NHSシステムは「サポートよりも責任を多く与える」ことが問題だと感じ、27歳でオーストラリアへの移住を決意した。
労働環境の改善と新たな課題
オーストラリアのブリスベンで5年間、地方の救急医としてパートタイムで働くグレイストン医師は、NHSとの労働文化の大きな違いに驚いた。
勤務体系: 数回の夜勤後、1週間丸々休みがあり、休暇を使わずに旅行や新しい経験を楽しめる。
サポート体制: 常にコンサルタントが周囲におり、サポート不足を感じたことがない。
給与と尊重: 給与は約30%向上し、医師はより尊重されていると感じる。
しかし、家族や友人との距離は大きな欠点であり、多くの英国人医師が帰国する理由となっている。また、国際的な卒業生にとって専門研修の競争は激しく、多くは救急または一般診療の役割に就く。オーストラリアは試験が不要で英語圏であるため、英国医師にとって最も人気のある移住先である。
帰国した医師の視点:ラクサン・カルナニシー医師
ラクサン・カルナニシー医師もパンデミック中に燃え尽き寸前でオーストラリアへ移住し、2年間過ごした後に英国へ帰国した。
オーストラリアでの利点: 常に暖かく晴れた天候は気分を高揚させ、困難なシフトも乗り越えやすかった。
直面した課題: 一人で移住したことによる孤独感。新しい人間関係を築くことの難しさを経験した。
医療システムの共通課題: 「忙しい時はどこも忙しい」と彼は指摘し、長い待ち時間、高圧的な環境、病床不足といった問題は国を問わず存在すると語る。
海外経験がもたらした教訓
現在NHSでGP研修中のカルナニシー医師は、海外での経験が永続的な視点を与えてくれたと語る。「芝生は水をやった場所だけが青い」という教訓を得て、不満やネガティブな考え方では、場所を変えるだけでは解決しないことを学んだ。彼は将来の再度の移住を否定せず、どこにいても満足感を得ることが最も重要だと考えている。
