中外製薬、アジアの「ドラッグラグ」解消を目指すRenalys Pharmaを買収
ロシュ傘下の中外製薬は、アジア市場への治療薬導入を目的として設立されたRenalys Pharmaを150億円の頭金で買収する契約を締結しました。さらに、主要薬剤のスパーセンタンが日本、韓国、台湾市場で承認され、売上目標を達成した場合には最大160億円が追加されます。
スパーセンタン:IgA腎症治療薬としての期待
スパーセンタンはTravere Therapeuticsによって開発された経口薬で、米国と欧州では希少な腎臓疾患であるIgA腎症の治療薬「Filspari」として既に承認されています。IgA腎症は腎不全の主要な原因の一つです。
Renalys Pharmaの設立背景と目的
Renalys Pharmaは、アジア諸国における新薬承認の遅れ、いわゆる「ドラッグラグ」に対処するために設立されました。特に腎臓病治療薬に焦点を当てています。昨年発表された東京財団の研究では、日本の薬価政策が国際企業の新治療法導入を阻害し、世界の製薬市場シェアの急落につながっていると指摘されています。
スパーセンタンの開発状況と腎臓病の現状
Renalys Pharmaは、日本におけるIgA腎症患者を対象としたスパーセンタンの登録治験を完了し、巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)と遺伝性疾患アルポート症候群(AS)の第3相追跡試験の開始承認も得ています。
日本において、慢性腎臓病(CKD)と末期腎不全(ESRD)は医療システムに大きな負担をかけ、高齢化に伴い深刻な社会問題となっています。Renalys Pharmaによると、日本のIgA腎症に対する既存治療法は不十分であり、ステロイドやRAAS阻害薬、扁桃摘出術などに依存しているのが現状です。
買収の意義
Renalys Pharmaは、スパーセンタンが「希少疾患および腎臓病の専門知識で知られる中外製薬に移管されることで、アジア全体の患者へのアクセスが加速する」と述べています。
