ルーチンゲノム検査が乳がん生存率の格差是正に貢献する可能性
新しい研究によると、ルーチンゲノム検査は、白人女性と黒人女性の間で長年確立されてきた乳がん生存率の格差を是正できる可能性があります。米国では、黒人女性の乳がん罹患率は白人女性より5%低いものの、死亡率は40%高く、社会経済的要因や同様の治療レジメンを考慮してもこの格差は残っています。
研究の概要と主な発見
Nature誌のnpj Breast Cancerに掲載されたこの観察研究では、Agendia社のMammaPrintとBluePrintという腫瘍分析を用いたゲノム検査の効果を調査しました。対象は、年齢と閉経状況をマッチさせた1,000人以上のHR陽性、HER2陰性の早期乳がんの黒人女性と白人女性でした。
腫瘍の悪性度: 研究者らは、黒人女性が白人女性と比較して、標準検査では見逃されがちな、より悪性度の高い腫瘍を持つ可能性が2倍高いことを発見しました。
治療転帰の改善: しかし、がんの重症度の違いにもかかわらず、ゲノム検査の結果に基づいて治療を受けた場合、3年後の転帰は同等でした。これは、ゲノム分析が黒人女性の治療不足を軽減し、臨床転帰を改善し、治療後の再発リスクを低減することを示唆しています。
- 低リスク群での成果: 米国の乳がん登録システムBESTに登録された黒人女性のサブグループでは、MammaPrint検査で低リスクと判断された女性の10年後の無再発生存率が97.7%であり、これは白人女性と同じ結果でした。
専門家の見解と今後の方向性
Agendiaの最高医療責任者であり、研究の共著者であるWilliam Audeh氏は、「黒人女性の乳がん再発リスクは、臨床試験への参加不足により、従来の臨床的特徴では過小評価されてきた」と指摘しています。ゲノム評価により、個別化されたケアが提供され、長期的な転帰が改善されると述べています。
研究を主導したVanderbilt大学医療センターのSonya Reid助教授は、今回の発見は、ホルモン受容体染色などの標準的な臨床マーカーを超えて、高リスクの乳がんタイプを特定し、「より個別化されたケア」を導く必要性を強調しています。ゲノム検査で検出された悪性腫瘍は、トリプルネガティブ乳がんに類似した臨床挙動を示すため、より積極的な治療が必要となる場合があるとも付け加えています。
なお、2022年の研究では、米国の過去15年間のがん臨床試験報告書の約半分(48%)にヒスパニック系患者がおらず、42%に黒人患者がいなかったことが示されており、研究が現実世界を正確に反映することにおける課題が浮き彫りになっています。
元記事:DNA testing can help right racial imbalance in breast cancer