脳腫瘍内で細菌を発見:その成長への影響と口腔衛生との潜在的関連性
これまで無菌環境と考えられてきた脳において、脳腫瘍内部から予期せぬ細菌の堆積物が発見されました。この新しい研究によると、これらの細菌は癌の成長や振る舞いに影響を与えている可能性があるとのことです。
研究の背景と発見
テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのジェニファー・ワーゴ博士は、「この研究は、脳腫瘍生物学に関する我々の理解に新たな側面を開くものです」と述べています。研究チームは、221人の患者から採取された243の脳組織サンプル(脳腫瘍168、健康な脳組織75)を分析しました。詳細な画像診断、遺伝子シーケンシング、細菌培養を用いて、脳腫瘍内に細菌が存在する初の証拠が明らかにされました。
細菌の特性と癌への影響
発見された細菌は、原発性脳癌と、体内の他の場所から転移した転移性脳腫瘍の両方で見つかりました。以前は結腸癌などの消化器系癌で細菌が確認されていましたが、体の他の部位の腫瘍での存在については議論がありました。
これらの細菌は、癌の振る舞いに影響を与えていると見られ、腫瘍の成長を助け、免疫システムによる検出を回避する可能性があります。さらに、脳腫瘍内の細菌株は、腸内細菌や口腔内細菌と重複していることが判明しました。これは、口腔衛生と脳癌リスクの関連性を示唆する可能性があります。
今後の研究と注意点
主任研究者のゴルナズ・モラド博士は、「細菌要素は腫瘍内の免疫細胞と相互作用し、腫瘍の発生や治療への反応に影響を与える可能性があります」と述べています。研究チームは現在、細菌がどのように脳に到達し、脳腫瘍の発達に影響を与えるかをより深く理解するための研究を進めています。例えば、歯周病が細菌の脳への拡散に役割を果たす可能性についても調査しています。
ただし、現在の研究では、脳腫瘍内に存在する細菌が癌の成長を直接促進するような、意味のある変化を引き起こすかどうかは断定できないと警告しています。
この新しい研究は、Nature Medicine誌に掲載されました。