癌と診断された未就学児における運動機能、筋力、機能レベルの低下
概要
新たに癌と診断された未就学児は、粗大運動機能、筋力、および機能レベルにおいて臨床的に有意な障害を示しました。特に、移動能力では4分の3以上、機能的移動能力では69%が平均以下のパフォーマンスでした。
研究方法
デンマークのコペンハーゲン大学病院にて、2021年から2024年にかけて実施された横断研究です。
対象: 1歳から5歳までの新規癌診断児83名(中央値39ヶ月)。治療開始後14日以内に登録され、身体評価は治療開始後14日以内(最長4週間まで許容)に実施されました。
評価項目:
粗大運動機能:Peabody Developmental Motor Scales–Second Edition (PDMS-2)
機能レベル:Pediatric Evaluation of Disability Inventory (PEDI)
筋力:ハンドグリップ強度テスト
身体能力:6分間歩行テスト
診断内訳: 血液癌66%、中枢神経系腫瘍16%、頭蓋外固形腫瘍18%。99%が化学療法(主にビンクリスチンとデキサメタゾン)を受けていました。
主な結果
PDMS-2(粗大運動機能):
定常領域:平均6.8、55%が平均以下
移動能力:平均5.7、81%が平均以下
物体操作:平均7.6、38%が平均以下
粗大運動商数:平均78.9、76%が平均以下(全体的な粗大運動機能の臨床的に有意な障害を示す)
PEDI(機能レベル):
移動性データ:平均標準スコア23.2、69%が平均以下(機能レベルの低下を示す)
筋力(ハンドグリップ強度):
支配手:平均0.17 bar、78%が標準値以下。非支配手でも同様の結果。
6分間歩行テスト:
7名のみが完了し、そのうち6名中5名が年齢期待値以下でした。
- 診断群間の比較: 中枢神経系腫瘍の児は、血液癌の児と比較して物体操作スコアが有意に低かった(P = .02)。他の領域では有意な差は見られませんでした。
臨床的意義
研究著者らは、「これらの知見は、すべての未就学癌患者に対し、癌治療の一環として体系的で早期に開始される目標指向型身体リハビリテーションの必要性を強調している」と述べています。
限界
本研究は単一施設で行われ、サンプルサイズが小規模でした。6分間歩行テストのデータが非常に限られており、結果の一般化可能性を制限しています。また、運動発達における異文化間の違いが標準スコアの解釈に影響を与えた可能性があります。