ガラスセラミックベニア接着におけるPANAVIA Veneer LCシステムの活用
はじめに
ガラスセラミックベニアの接着は、審美歯科において極めてテクニックセンシティブな処置であり、誤差の許容範囲が小さく、高い審美性が求められます。本記事では、既存ベニアの破折を契機に、70歳女性患者の上顎前歯部に対する4本のベニアと4本のダイレクトコンポジット修復を行った症例について報告します。
症例提示と治療計画
患者は70歳女性で、過去に治療計画が段階的に進められていました。緊急で歯#21のベニア破折で来院し、この機会に審美修復へ移行することになりました。時間と予算の制約から診断用ワックスアップなどは省略されましたが、デジタルスマイルデザイン(DSD)を用いて治療計画を立案しました。既存の4本のベニアを交換し、4本のClass Vコンポジット修復も新しくすることになりました。
歯面形成とプロビジョナル修復
DSDに基づいてフローアブルコンポジットで直接モックアップを作成し、プロビジョナル修復を製作しました。歯面形成は、既存ベニアの除去と、歯頸部の欠損被覆、歯肉の調和的な形態確立を目的として行われました。
材料選択とベニア接着の考慮事項
ガラスセラミックベニアの接着には多様なレジンセメントが使用されますが、近年ではフローアブルコンポジットも注目されています。
- セメントシェードの重要性: ベニアの最終的な審美性には、セメントのシェードが決定的な影響を与えます。特に薄く半透明なベニアではその影響が顕著です。PANAVIA Veneer LCシステムは、対応する試適ペースト(PANAVIA V5 try-in paste)を提供しており、正確なシェード評価が可能です。
- セラミックの選択: 準備された歯の色調、ベニアの厚み、セラミックの透明度(IPS e.max CAD/Pressの低・中・高透明度)を考慮して選択されます。本症例では、暗めの歯質と自然な結果を目指し、中程度の透明度のIPS e.max CAD(A1シェード)が選択されました。
- PANAVIA Veneer LCシステム: 2mm未満の厚さのセラミックおよびコンポジット修復に適応される光重合型レジンセメントです。4つのシェード(Clear, Universal (A2), White, Brown (A4))があり、K-ETCHANT Syringe、PANAVIA V5 Tooth Primer、CLEARFIL CERAMIC PRIMER PLUSと組み合わせて使用されます。
接着プロトコル
- 試適とシェード選択: 製作されたベニアを試適し、Universalシェードの試適ペーストで最終的な審美性を評価しました。
- ラバーダム防湿: 接着処置中はラテックスフリーのデンタルダム(Isodam HD)で厳重に防湿しました。
- 歯面処理:
- 35μmの酸化アルミニウム粉末を用いたエアアブレーションで歯面を粗化。
- 35%リン酸エッチングゲルを15-30秒適用後、洗浄・乾燥。
- PANAVIA V5 Tooth Primerを適用し、20秒後に軽く乾燥。
- ベニア内面処理:
- フッ化水素酸を20秒適用後、洗浄。
- CLEARFIL CERAMIC PRIMER PLUSを適用し、乾燥。
- セメント塗布と装着: PANAVIA Veneer LCをベニア内面に塗布し、慎重に装着。
- 余剰セメント除去と重合: 重合前に余剰セメントを注意深く除去し、酸素阻害層を防ぐためにグリセリンゲルをマージンに塗布後、光重合。
- 接着順序: 中切歯から接着し、その後側切歯を接着することで、全体のバランスを確保しました。側切歯の接着時には、歯肉圧排にフロスを使用しました。
- 最終仕上げ: 超高分子量ポリエチレンフロスで隣接面を清掃し、研磨用ラバーでセラミックと歯の境界面を研磨しました。
臨床的フォローアップ
接着直後は軽度の歯肉発赤が見られましたが、3週間後のフォローアップでは軟組織は完全に治癒し、安定したマージン適合と健康な歯肉形態が確認されました。残存セメントの徹底的な除去が長期的な歯肉健康に不可欠です。
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元記事:Glass-ceramic veneer cementation: Full adhesive workflow with PANAVIA Veneer LC