歯科医師の不適切行為と処分を巡る高裁の判断
事案の概要と初期処分
ある歯科医師が、2020年から2023年にかけて、ジュニアの女性同僚に対して繰り返し性的かつ差別的なコメントを行い、女性患者の身体に関する不適切な発言、さらに人種差別的および同性愛嫌悪的な発言をしたことが明らかになりました。具体的には、「レイプする目で見てる」といった発言や、女性の「ランキング」についての話、性生活に関する詳細な質問、不適切な身体接触などが報告されています。また、人種差別的な発言として、娘が黒人男性を連れてきたら「酸をかける」と述べたり、「同性愛者が嫌いだが、あなただけは好きだ」と発言したりしたとされています。
この事案に対し、独立した専門行為委員会(PCC)は、2025年7月に6ヶ月間の資格停止処分を課しました。PCCは、資格剥奪は不均衡であると判断し、歯科医師の過去の良好な品行、反省の兆候、および改善への取り組みを考慮しましたが、同時に反省と改善が限定的であるとも指摘しました。
GDCとPSAによる異議申し立て
歯科医師規制機関であるGDCは、この処分が「公衆を保護し、歯科専門職への信頼を維持するのに不十分である」との見解を示し、専門基準局(PSA)に懸念を通知しました。PSAは、この処分が不十分であるとして、2025年10月に資格剥奪を求める上訴プロセスを開始し、GDCもこれを支持しました。
再審査と高裁への付託
しかし、2026年2月の再審査公聴会で、別のPCCは、歯科医師の開業適格性が依然として損なわれていると判断し、再犯のリスクが「極めて低い」とは言えないとしながらも、資格停止処分を撤回し、18ヶ月間の条件付き開業を許可しました。これには、職場での報告義務や懲戒処分のGDCへの通知などが含まれます。
この結果、GDCが資格剥奪を主張する一方で、PCCが条件付き開業を許可するという矛盾した状況が生じました。PSAは、資格剥奪が唯一適切な処分であるという立場を維持し、高裁に事案を付託しました。
高裁のスイーティング裁判官は、元のPCCが歯科医師の反省と改善の限定的な証拠に過度な重みを置き、不正行為の深刻さを著しく過小評価したと判断しました。高裁は資格剥奪を直接命じるのではなく、処分を再検討するために新たに構成されたPCCに事案を差し戻す決定を下しました。
GDCは、高裁の決定を歓迎し、専門職の開業適格性審査において、持続的な性的不正行為が深刻に受け止められることを明確にしたと述べています。
元記事:High Court orders new sanction hearing in racist and sexualised comments case