TRACE-5試験:テネクテプラーゼが脳底動脈閉塞性脳卒中の転帰を改善
研究背景と目的
脳底動脈閉塞性脳卒中は全脳卒中の約1%に過ぎませんが、再開通がなければ死亡率・障害率が80-90%に達する最も重篤なタイプです。従来の血栓溶解療法は発症4.5時間以内が推奨され、血管内治療(EVT)は一部の患者で発症24時間まで有効とされていますが、EVTへのアクセスは依然として限定的です。
TRACE-5試験は、発症から最大24時間以内の脳底動脈閉塞性脳卒中患者において、テネクテプラーゼによる血栓溶解療法(EVTの有無にかかわらず)が標準治療と比較して転帰を改善するかを調査しました。
研究方法
- 対象患者: 脳出血、広範囲の虚血性変化(posterior circulation Acute Stroke Prognosis Early CT score, < 6)、著しい小脳腫瘤効果、急性水頭症、非造影CTでの明らかな低密度域、または両側広範囲脳幹虚血のない中国の患者452人が対象。
- 介入: 患者はテネクテプラーゼ群と標準治療群に無作為に割り付けられました。標準治療群は、標準的なケアとしてヘパリン注入や抗血小板薬、適格であればアルテプラーゼも投与されました。EVTは、地域の慣行と利用可能性に応じて実施されました。
- 主要評価項目: 90日時点での改良Rankinスケールスコア0-1(良好な機能的転帰)を達成した患者の割合。
研究結果
- 良好な機能的転帰: テネクテプラーゼ群の37.6%が良好な機能的転帰を達成したのに対し、対照群では28.6%でした(P = .014)。
- 早期再開通: 初期血管造影での早期再開通は、テネクテプラーゼ群で15.4%、対照群で7.3%でした。
- 安全性: 両群間で安全性に有意な差はなく、テネクテプラーゼ群で症候性頭蓋内出血、大出血、または死亡の増加は認められませんでした。
専門家のコメントと意義
主治医のYunyun (Carol) Xiong医師は、「本試験は、血管内治療が可能な環境でも、限定的な環境でも、発症24時間までの脳底動脈閉塞性脳卒中におけるテネクテプラーゼの使用を支持する」と述べています。
外部の専門家からは、脳底動脈閉塞が最も壊滅的な脳卒中であるにもかかわらず、今回の結果は治療医に希望を与えるものとして高く評価されました。特に、中国の患者に多い頭蓋内アテローム硬化性脳卒中におけるテネクテプラーゼの印象的な早期再開通率が、良好な機能的転帰に貢献したと考えられています。
この研究は、EVTが利用できない患者に対する新たな治療選択肢を提供し、「大きな成果」であると強調されています。また、欧米の患者(心房細動による塞栓性脳卒中が多い)においても、テネクテプラーゼは同様かそれ以上の結果が期待される可能性が示唆されています。
元記事:Tenecteplase Benefits Basilar Artery Stroke Out to 24 Hours
