米国ヒスパニック系・ラテン系成人における糖尿病とがんリスクの関連性
概要
米国に住むヒスパニック系・ラテン系成人において、糖尿病はがんリスクを2倍以上に高めることが示されました。平均10.7年の追跡期間中に715件のがんが診断されています。特に、血糖コントロールが不良な糖尿病やインスリン抵抗性が高い状態は、がんリスクをさらに上昇させ、肥満関連がんでその傾向が顕著でした。
研究方法
糖尿病とがんリスクの関連性はこれまでも広く研究されてきましたが、ヒスパニック系・ラテン系成人は、糖尿病の負担が大きいにもかかわらず、研究において十分に代表されていませんでした。
この研究は、2008年から2011年にかけてシカゴ、マイアミ、ニューヨークのブロンクス、サンディエゴで登録された18歳から74歳の16,415人のヒスパニック系・ラテン系成人を対象とした多施設前向きコホート研究です。
- データ収集: 参加者は2008-2011年(初回)と2014-2017年(2回目)に臨床検査を受け、糖尿病の状態、A1cレベルに基づく血糖コントロール、およびHOMA-IR(インスリン抵抗性)が経時的に評価されました。
- がんの特定: 初回訪問から2021年までの新規がんは、カリフォルニア州、フロリダ州、ニューヨーク州、イリノイ州のがん登録との連携により特定されました。総計715件のがん(うち330件が肥満関連がん)が、平均10.7年の追跡期間中に診断されました。
- データ分析: 年齢、性別、民族的背景、教育、BMI、喫煙、飲酒、食事の質、身体活動、保険状況などの人口統計学的、社会的、行動的特性を調整したCox回帰モデルが用いられました。
主要な研究結果
- 糖尿病前症(ハザード比 [HR] 1.82)および糖尿病(HR 2.49)は、非糖尿病と比較してがんリスクと関連していました。
- A1c値が7.0%を超える糖尿病患者(HR 3.12)およびHOMA-IRが3.0を超える糖尿病患者(HR 2.78)では、がんリスクがより顕著に上昇しました。
- 糖尿病は肥満関連がん(HR 2.57)とも関連しており、特にA1c値が7.0%を超える糖尿病患者ではそのリスクが最も高く(HR 4.99)、95%信頼区間は1.73-14.32でした。
- 性別は、糖尿病の状態と全体的ながんリスク(交互作用のP値 = 0.41)または肥満関連がんリスク(交互作用のP値 = 0.40)との関連性を有意に変化させませんでした。
臨床的示唆
本研究の著者らは、「糖尿病の予防と管理は、ヒスパニック系またはラテン系成人のがん予防にとって、さらに重要である可能性がある」と述べています。
研究の限界
- 参加者が登録時に比較的若かったため、がん症例数が少なく(全体で715件、肥満関連が330件)、統計的検出力が限られ、個々のがん部位の検討ができませんでした。
- ヒスパニック系・ラテン系の背景による効果修飾を検討する検出力も限定的でした。
- がん転帰が裁定されていないため、がんの過小評価または誤分類の可能性があります。
- 職業的・環境的曝露などの未測定の共変量や、身体活動や食事の質などベースラインのみ測定された因子による残余交絡の可能性が残ります。
元記事:Diabetes Linked to Increased Cancer Risk in Hispanic Adults