GLP-1セマグルチドのリアルワールドにおける中止率:デンマークの大規模調査
デンマークで実施された大規模な全国調査によると、糖尿病のない成人が体重減少を目的としてGLP-1受容体作動薬であるセマグルチド(Wegovy)の服用を開始した場合、1年以内に半数以上(52%)が治療を中止していることが判明しました。特に若年層での中止率が顕著に高かったと報告されています。
リアルワールドデータと臨床試験の違い
研究者らは、臨床試験の「管理された環境」と「リアルワールド(実臨床)」との間に大きな差があることを指摘しています。臨床試験では患者が慎重に選ばれ、治療計画が厳密に守られるため、アドヒアランス(服薬遵守率)が非常に高い(80%以上)傾向にあります。これに対し、実臨床では経済的制約や副作用が治療中止の主要な要因となるようです。
調査方法と対象
この研究は、デンマークの全国健康登録データを用いて、2022年12月から2023年10月の間にセマグルチドの服用を開始した糖尿病のない成人77,310人を対象としました。対象者の年齢中央値は50歳、71%が女性でした。デンマークは税金で賄われる医療制度ですが、体重減少目的のセマグルチドは自己負担(年間約2000ユーロ)であり、この調査結果は幅広い社会経済的背景を持つ人々に一般化できるとされています。
主な中止要因と関連性
1年以内の中止率は52%に達し、3ヶ月で18%、6ヶ月で31%、9ヶ月で42%が中止していました。
年齢: 18~30歳の成人は、45~60歳の成人と比較して治療を中止する可能性が約50%高い(リスク比[RR], 1.48)という強い関連が示されました。
社会経済的要因: 低所得地域に住む人々は、高所得地域の人々よりも治療を中止する可能性が14%高かった(RR, 1.14)です。研究者は、肥満の有病率が低教育・低所得層で高いにもかかわらず、セマグルチドの処方率が逆の傾向にあることを懸念しており、社会的不平等を悪化させる可能性を指摘しています。
併存疾患と薬剤使用歴: 以前に消化器系薬剤(RR, 1.09)または精神科薬剤(RR, 1.12)を使用していた人は、治療を中止する可能性が高かったです。これは、GLP-1受容体作動薬でよく報告される消化器系副作用や、精神科的副作用が関与している可能性を示唆しています。心血管疾患やその他の慢性疾患を持つ人も、中止する可能性が約10%高かった(RR, 1.11、RR, 1.09)です。
性別: 男性は女性よりも治療を中止する可能性が高かった(RR, 1.12)です。
専門家のコメント
デューク大学のDavid D’Alessio医師は、この研究がGLP-1受容体作動薬のアドヒアランスの低さに関するこれまでの報告を裏付けるものだとコメントしました。治療中止の要因として、費用、副作用、そして期待との乖離が考えられるとし、患者経験や適切な用量に関するコミュニケーションの重要性を強調しています。
元記事:Real-World Study Finds Over 50% Stop GLP-1s Within 1 Year