ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)は、アトピー性皮膚炎(AD)治療薬候補の一つであるJNJ-95475939(JNJ-5939)の第2相試験を中止しました。これは、概念実証試験であるDUPLEX-AD試験において、同社が設定した「高い有効性基準(”high-bar efficacy”)」を満たさなかったためです。なお、安全性プロファイルは良好でした。
JNJ-5939の背景と期待
- JNJ-5939(旧称NM26)は、スイスのバイオテクノロジー企業Numab Therapeuticsから12.5億ドルの現金取引で買収されたIL-4およびIL-31を標的とする二重特異性抗体です。この買収は2024年に完了し、J&JはNumabの完全子会社であるYellow Jersey Therapeuticsを傘下に収めました。
- 買収当時、J&Jはこの抗体がADに対する「初のクラス最高の治療薬」となる可能性を秘めており、既存療法とは異なる特性を提供できると期待していました。
- その作用機序は、IL-4受容体を標的とすることで皮膚の炎症を抑制し(これはサノフィとリジェネロンの主力AD治療薬デュピクセント(デュピルマブ)と同様のメカニズム)、IL-31を阻害することで、かゆみなどの症状を軽減するというものでした。
プログラムの終了とJ&Jの今後の取り組み
- J&Jのパイプライン情報およびclinicaltrials.govの登録によると、JNJ-5939は他の適応症での試験が確認されておらず、今回の試験中止はこのプログラムの終了を意味する可能性が高いと見られています。
- しかし、J&Jはアトピー性皮膚炎治療薬の研究開発に「深くコミット」しており、臨床段階および前臨床段階の豊富なパイプライン候補を進めていると述べています。これには以下のものが含まれます。
- JNJ-7528: 作用機序は未公開ながら、AD治療薬として第1相試験中の薬剤。
- PX130: 2024年に8.5億ドルで買収した米バイオテクノロジー企業Proteologixから得た前臨床段階の二重特異性抗体。
- KP-723: 日本の鍵山製薬が開発した経口STAT6標的薬で、2025年に試験開始が予定されています。
- J&Jは、ADが「慢性かつしばしば消耗性の疾患であり、満たされていないニーズが高い」ことから、患者とその家族に身体的・精神的負担をかけることを認識しています。
- 同社は、世界中で1億人以上が罹患するこの疾患に対し、「患者のニーズを最も満たす可能性のある、新たな革新的な医薬品を提供することを楽しみにしている」と表明しています。