アストラゼネカの乳がん治療薬Etcamah、広範な患者群への適応拡大試験で目標未達
アストラゼネカの経口SERD(選択的エストロゲン受容体分解薬)Etcamahは、HR陽性HER2陰性乳がんの一次治療薬としてFDA承認を受けたわずか1週間後、適応拡大を目指すSERENA-4試験で主要評価項目を達成できませんでした。
SERENA-4試験の結果と背景
試験結果: EtcamahとファイザーのCDK4/6阻害剤Ibrance(パルボシクリブ)の併用療法は、アナストロゾールとIbranceの併用と比較して、無増悪生存期間(PFS)の統計的に有意な改善を示しませんでした。「数値的な改善」はあったものの、目標には届きませんでした。
対象患者: SERENA-4試験は、ESR1変異の有無にかかわらず、HR陽性HER2陰性乳がんの全患者集団を対象としていました。
試験の目的: この試験は、Etcamahをこの疾患の広範な一次治療選択肢として位置づけ、年間50億ドルのピーク売上目標達成に向けた重要な一歩と見なされていました。
Etcamahの既存承認と今後の戦略
既存承認: Etcamahは、SERENA-6試験に基づき、ESR1遺伝子変異を持つ局所進行または転移性のHR陽性HER2陰性乳がんの一次治療として、米国、欧州などで既に承認されています。ESR1変異はアロマターゼ阻害剤への耐性に関連しています。
アストラゼネカのコメント: アストラゼネカのオンコロジー・血液疾患R&D責任者であるスーザン・ガルブレイス氏は、SERENA-4の結果には失望したものの、SERENA-6に基づく現在の承認を最大限に活用し、ESR1検査の重要性を強調すると述べました。
今後の開発: Etcamahの開発プログラムには、早期乳がんにおける疾患再発予防を目的としたCAMBRIA-1およびCAMBRIA-2試験(単剤療法およびCDK4/6阻害剤との併用)が含まれており、同社は長期的な可能性に自信を示しています。
競合する経口SERD
現在、市場にはメナリーニ/ステムラインのOrserdu(エラセストラント)とイーライリリーのInluriyo(イムルネストラント)という2つの経口SERDがあり、いずれもESR1変異を持つ進行HR陽性HER2陰性乳がんの二次治療薬として承認されています。ロシュのgiredestrantも開発中で、SERENA-4と同様の患者集団を対象とした一次治療試験で期待外れの結果を出しています。
Enhertu、HER2陽性NSCLC試験でPFSを改善するもOSに課題
SERENA-4のデータと並行して、アストラゼネカはHER2標的抗体薬物複合体Enhertu(トラスツズマブ デルクステカン)のDESTINY-Lung04試験から、HER2陽性非小細胞肺がん(NSCLC)におけるPFSの良好な結果を報告しました。
DESTINY-Lung04試験の結果
PFSの改善: 第一三共と提携するEnhertuは、HER2陽性NSCLCにおいて、標準的な一次治療であるMSDのPD-1阻害剤Keytruda(ペムブロリズマブ)と化学療法と比較して、PFSを中央値で6ヶ月間(37%)改善しました。
OSの課題: しかし、試験では抗体薬物複合体(ADC)であるEnhertu群で全生存期間(OS)が悪化する傾向が見られました(対照群33.1ヶ月に対しEnhertu群29.3ヶ月)。
データの成熟度: アストラゼネカは、OSの結果は現在の読み出し時点で50%未満の成熟度であり、「正式な仮説検定は実施されていない」と述べています。
アストラゼネカのコメント: ガルブレイス氏は、これらの結果がEnhertuがHER2変異患者にとって重要な治療法であることを裏付け、転移診断時におけるその潜在的な役割を強調すると述べました。
元記事:AZ's Etcamah falls short in first-line breast cancer trial