製薬業界の直接消費者広告は「公衆衛生上の危機」であるとFDA長官が指摘、規制強化へ

FDA長官、医薬品の消費者直接広告(DTC)を「公衆衛生上の危機」と指摘し、規制強化へ

FDA(米国食品医薬品局)長官のMarty Makary氏は、連邦政府による最近の政策変更を説明する社説で、医薬品の消費者直接広告(DTC)を「公衆衛生上の危機」と呼んだ。彼は『Journal of the American Medical Association (JAMA)』誌において、製薬業界が緩い規制を悪用し、製品の宣伝的で誤解を招くコンテンツをメディアに「氾濫させた」と主張している。

規制強化の背景と詳細

この規制強化は、「Make America Healthy Again (MAHA)」レポートの発表と同時に明らかにされた。同レポートは、米国人が過剰に薬を処方されていると指摘しており、これには1990年代にDTC広告の政策が変更され、安全性情報を広告に直接含める必要性が緩和されたことの見直しが含まれている。これにより、安全性情報はウェブサイトなどの他の情報源から提供されることが許容されていた。

Makary氏は、米国が世界でDTC医薬品広告を許可しているわずか2カ国のうちの1つであると指摘。規制が緩和されて以来、業界による広告費が800%も増加し、「患者と医師の関係を歪め」、「臨床的適切性にかかわらず医薬品への需要を増加させた」とJAMA誌に記している。

FDAの規制活動の現状と問題点

Makary氏は、FDAが広告規制を事実上放棄していると主張。1990年代には年間数百通の執行書簡を企業に送っていたのに対し、2023年にはわずか1通、昨年は全く送っていないと指摘した。社説では「誤解を招く印象は広告そのものから直接生じる。患者が笑ったり、歌ったり、踊ったりする光沢のあるシーンが画面を支配する一方で、発作、依存症、あるいは死についての警告が細かい文字で急速に流れていく。これは公正なバランスではなく、意図的な注意散漫である」と述べている。

トランプ政権の動きと業界の反応

先週、トランプ政権はFDAが約100件の執行通知と数千通の書簡を製薬会社に送り、DTC広告が規制に準拠する必要があることを助言すると発表した。トランプ政権は前任期に、すべてのテレビ広告に卸売価格を含めることを求めたが、これは裁判所で阻止された。製薬業界団体であるPhRMAは声明で、そのメンバーが「患者に潜在的な治療選択肢に関する重要で事実に基づいた、有用でアクセス可能な情報を提供する」正確で責任ある広告にコミットしていると述べた。

今後の規制強化の方向性

Makary氏の論文は、広告におけるリスク開示の「抜け穴」を閉じるだけでなく、ソーシャルメディアやオンライン薬局、遠隔医療企業によるプロモーションにも対処し、安全性への配慮を軽視し、医薬品のメリットだけを強調する慣行を是正することを約束している。彼は、今年のスーパーボウルで放映された遠隔医療会社Hims & HersによるGLP-1薬の「副作用や免責事項に一切言及せずメリットだけを強調した」物議を醸す広告を具体例として挙げた。

憲法修正第1条と規制の正当性

Makary氏は「FDAは処方薬広告を禁止するわけではない。憲法修正第1条はそのような行為を禁じている」と述べている。しかし、「メディアに氾濫し、医療システムに負担をかけ、適切な規制監督があれば避けられた不必要な支出を招いた欺瞞的で誤解を招く広告は、憲法修正第1条によって保護されない」と主張している。彼は「患者と医師の関係を歪め、米国人の薬価を下げるために有効活用できたはずの医療資源の数十億ドルを浪費する欺瞞的な慣行を、もはや容認しない」と結論付けている。

元記事:FDA's Makary explains 'overdue' pharma ads crackdown