電子タバコが消化性潰瘍疾患(PUD)のリスクを増加させる可能性
電子タバコ使用者でPUDリスクが増加
クロスセクション研究により、電子タバコ使用者は、非使用者と比較して消化性潰瘍疾患(PUD)のリスクが増加することが判明しました。このリスクは、電子タバコの元使用者にも見られました。従来のタバコ喫煙がPUDの既知のリスク因子である一方で、電子タバコ(Vaping)に関する同様の研究はこれまで少なかったと、研究を主導したAlbert E. Ohrin氏は述べています。
研究の背景と動機
Ohrin氏は、Redditで電子タバコ使用者がPUDの悪化について議論しているのを見つけ、特に若年層で電子タバコが広く普及していることから、その関連性を調査するに至りました。米国では2024年に160万人の学生が電子タバコを使用しており、成人使用者も2020年の3.7%から2023年には6.5%に増加しています。
調査方法と参加者
研究は、National Institutes of Health All of Us Research Programに登録された成人を対象としたクロスセクション分析で行われました。参加者は電子タバコの使用状況を自己申告し、PUDは検証済みの電子カルテ診断コードを用いて定義されました。
371,398人の参加者のうち、29,373人(8%)が電子タバコの使用を報告し、そのうち21,277人が現行使用者、8,096人が元使用者でした。電子タバコ使用者は、非使用者と比較して有意に若く(平均年齢45.3歳 vs 59.3歳)、女性が多く、学歴や収入が低い傾向がありました(P < .001)。
主要な研究結果
現行の電子タバコ使用者は、非使用者と比較してPUDのオッズが27%高かった(調整オッズ比 [aOR], 1.27; 95% CI, 1.12-1.45)。これは、従来の燃焼式タバコ使用者に見られたリスク(aOR, 1.19)よりも高いものでした。
電子タバコの元使用者も、非使用者と比較してPUDのオッズが13%高かった(aOR, 1.13; 95% CI, 1.04-1.24)。
あらゆる電子タバコの使用歴がある場合、非使用と比較してPUDのオッズが17%高かった(aOR, 1.17; 95% CI, 1.09-1.26)。
PUDの最も顕著なリスクは、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の使用(aOR, 2.15)と胃食道逆流症(GERD)の存在(aOR, 4.45)でした。
Ohrin氏は、電子タバコの使用を中止した人々にもPUDのリスク増加が見られたことに驚きを示しましたが、使用頻度や中止期間は不明であると指摘しました。
今後の展望と専門家の見解
研究チームは、今回の関連性を受けて、電子タバコの潜在的な健康被害、特に消化器系への影響についてさらに研究を進める予定であり、用量反応関係の解明を目指しています。
カリフォルニア大学サンディエゴ校のLaura Crotty Alexander医師は、この研究を「斬新で興味深い」と評価し、電子タバコとPUDの関連性を示した初の研究であると述べました。過去の研究では、ニコチン自体が胃酸分泌を増加させ、治癒を阻害することでPUDに寄与する可能性が示唆されています。また、電子タバコのエアロゾルが刺激物であり、酸化ストレスを引き起こすことがPUDにつながる可能性も指摘されています。
Crotty Alexander医師は、Ohrin氏の研究が消化器系における電子タバコの影響を調査する「扉を開く」ものであり、臨床医に対しては、患者の正確な吸入歴(Vapingの有無を含む)を聴取することの重要性を示唆していると強調しました。
