手術前の不安が術後せん妄のリスクを予測:脳ケアバンドルの有効性
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手術を受けた患者の約20%が術後回復室(PACU)で術後せん妄を経験しており、術前の不安レベルが高い患者ではそのリスクが有意に高いことが明らかになりました。研究者らは、脳ケアバンドルの導入がPACUにおける術後の疼痛、不安、悪心、嘔吐の管理に役立ったと報告しています。
研究方法
この観察的プロスペクティブ研究は、2023年1月から2024年1月にかけてスイスの病院で実施されました。患者報告アウトカムと経験が術後せん妄のリスクに影響するかを評価することを目的としています。
対象は、待機的または緊急手術を受け、術後にPACUに滞在した成人1412人(平均年齢58.8歳、女性51.2%)でした。研究期間中には、周術期の脳の健康を最適化するための多分野横断的な非薬理学的戦略を組み込んだ「Safe Brain Initiative」ケアバンドルが導入されました。
患者は手術前、PACU到着時、PACU退室時、およびPACU滞在中の最悪時に、疼痛、不安、ストレス、喉の渇き、悪心を0-10のスケールで報告しました。主要評価項目は、Nursing Delirium Screening Scaleスコアが2以上と定義された術後せん妄の発生率でした。
主な結果
- PACUにおける術後せん妄の発生率は19.6%でした。せん妄を経験した患者は、経験しなかった患者と比較して、より高レベルの疼痛、不安、ストレスを報告しました。
- 高レベルの術前不安(Numeric Rating Scaleスコア > 7)は、術後せん妄の独立した予測因子であることが判明しました(P = .012)。
- PACU滞在期間、3時間を超える手術時間、麻酔の種類、および動員時の術前疼痛レベルの高さも、術後せん妄の有意な予測因子でした(P < .05)。
- 脳ケアバンドルの導入により、PACUにおける術後の疼痛、不安、悪心、嘔吐は時間とともに減少する傾向が見られました。
臨床的意義
研究者らは、術前疼痛、不安、ストレスが術後せん妄に重要な役割を果たすことを強調しています。術前の不安と疼痛の高さは、根底にある心理的脆弱性やストレス反応の亢進を示唆し、術後の苦痛を悪化させ、PACUでの術後せん妄のリスクを高める可能性が指摘されました。
この関連性は、リスクのある患者を特定し、支援するための術前心理評価と介入の重要性を裏付けるものです。
研究の限界と出典
本研究は単一施設で実施されたため、その一般化可能性には限界があります。また、術後せん妄の特定には1つの評価ツールのみが使用されました。PACU到着直後に特定されたせん妄は、麻酔の残存効果を反映している可能性があり、せん妄の真の発生率を過大評価している可能性も示唆されています。
この研究は、スイスのHirslanden Hospital GroupのSalem-Spitalに所属するJoana Berger-Estilita氏らが主導し、2025年8月22日にEuropean Journal of Anaesthesiology誌にオンライン公開されました。
元記事:Anxiety Before Surgery Predicts Risk for Post-Op Delirium