ファイザーの買収した抗体薬物複合体の肺がん第3相試験で主要評価項目未達、今後の戦略は?

Pfizerの主要ADC、非小細胞肺がんの第3相試験で主要評価項目を未達

Pfizerが3年前にSeagenを430億ドルで買収した際の中核をなす抗体薬物複合体(ADC)の一つであるsigvotatug vedotinが、肺がんにおける待望の第3相試験(SigVie-002)で主要評価項目を達成できませんでした。

Sigvotatug vedotinの第3相試験結果

IB6(インテグリンベータ6)を標的とするsigvotatug vedotinは、転移性非扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)の二次治療以降を対象とした試験において、ドセタキセル化学療法と比較して全生存期間(OS)の改善を示すことができませんでした。これは、本研究の主要評価項目でした。

Pfizerは、主要評価項目は未達だったものの、有望な兆候があったと述べています。

  • 試験対象者703人の約3分の2を占める、先行治療が1ラインのみの患者では、ドセタキセルと比較してOSおよび無増悪生存期間(PFS)の改善傾向が見られました。
  • 安全性プロファイルは「管理可能」でした。

一方で、薬剤の有効性とIB6の発現との間に明確な関連性は見られませんでした。IB6は腫瘍細胞で高度に過剰発現し、健康な肺組織ではほとんど検出されないため、魅力的な標的とされていました。

Pfizerの今後の戦略と期待

Pfizerはこれまでsigvotatug vedotinを胸部がんフランチャイズの中核資産と位置付け、長期的な成長と画期的な治療法を提供できると期待していました。米国で約5万人、世界で20万人以上の患者が、二次治療以降の非扁平上皮転移性NSCLCのカテゴリーに該当します。

今回の二次治療での挫折を受け、Pfizerの焦点は、ADCの早期治療(一次治療)での使用へと移行します。

  • 現在進行中の第3相試験SigVie-003では、PD-L1陽性NSCLC患者において、sigvotatug vedotinとMSDのPD-1阻害薬Keytruda(ペムブロリズマブ)の併用とKeytruda単独を比較しています。
  • SigVie-002の研究者の一人であるローザンヌ大学病院のSolange Peters氏は、「sigvotatug vedotinが免疫原性細胞死を誘導する能力は、免疫療法との併用、特に免疫能力がより保たれている早期治療設定での強い根拠を提供する」とコメントしています。
  • また、Keytrudaと化学療法を組み合わせた一次治療の標準レジメンでの研究も検討されています。
  • さらに、PD-1とVEGFを標的とする新規二重特異性抗体PF-08044404など、他の薬剤との併用も模索されています。

Pfizerは、sigvotatug vedotinとは異なる細胞殺傷ペイロードを使用する次世代のIB6標的ADCも開発中です。

背景と影響

Pfizerは、2030年までにがんパイプラインから8つ以上のブロックバスター医薬品を生み出すことを目標としています。しかし、Seagen由来の他のADC(B7-H4標的felmetatug vedotinやHER2標的disitamab vedotin)も期待通りの結果を出せていません。

元記事:Pfizer's Seagen-derived ADC pipeline suffers a setback