がん患者における高リスク薬(GO-PIM)の蔓延と転帰への影響
背景と目的
National Comprehensive Cancer Network (NCCN) が定義する高リスク薬(GO-PIMスケールで特定)は、がん患者において有害事象のリスクを高めることが懸念されています。本研究は、GO-PIMの有病率を評価し、がん患者のフレイル、入院、死亡との関連を調査することを目的としました。GO-PIMスケールは、多忙な腫瘍内科クリニックでの導入を改善するため、NCCNの高リスク薬リストを用いて開発されました。
研究方法
2000年から2022年の間に固形がんまたは血液がんを新規診断された388,113人の退役軍人(中央年齢69.3歳、97.9%が男性)の全国退役軍人省がん登録および電子健康記録データを用いた後方視的コホート研究が実施されました。がん診断前90日間の外来薬局記録からGO-PIMが特定され、各GO-PIM処方が1つとしてカウントされました。主要なアウトカムは、診断時のフレイル(Veterans Affairs Frailty Indexで測定)、追跡期間中の入院、および全生存期間でした。最も一般的ながんは、肺(23.7%)、前立腺(21.5%)、消化器(20.5%)でした。
主な結果
がん診断時に38.0%の退役軍人が1つ以上のGO-PIMを処方されており、中等度から重度のフレイル患者ではこの割合が56.1%に増加しました。
最も一般的に処方されたPIMのクラスは、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRIs; 12.0%)、オピオイド(10.4%)、ベンゾジアゼピン(9.2%)、コルチコステロイド(9.2%)でした。個別薬剤では、セルトラリン(SSRIs)、トラマドール(オピオイド)、ロラゼパム(ベンゾジアゼピン)、プレドニゾン(コルチコステロイド)がそれぞれ最も一般的でした。
年齢、がんの種類と病期、その他の共変量を調整後、GO-PIMが1つ増えるごとに、軽度または中等度から重度のフレイルのオッズが66%高くなることが示されました(調整オッズ比1.66)。
フレイルと共変量を調整後、診断時のGO-PIMが1つ増えるごとに、予定外入院(調整ハザード比1.08)および死亡(調整ハザード比1.07)のリスクが増加しました。これらの関連性は、感度分析でも安定していました。
臨床的意義と今後の展望
研究者らは、「支持的腫瘍ケアのためであろうと、併存疾患のためであろうと、PIMとして特定された高リスク薬は、がん患者においてレビューされ、最適化されるべきである」と述べています。専門家は、GO-PIMが「高リスク処方を特定するための合理化された、腫瘍学に特化したアプローチを提供し、特に高齢でフレイルな患者に対する支持ケアを改善するための既存の取り組みを補完する」とコメントしています。今後は、GO-PIMのようなツールを日常診療に統合し、高リスク薬の特定だけでなく、減薬などの治療計画と患者管理における行動可能な変更を支援することが重要であると結論付けられています。
研究の限界
処方の慢性性や実際の服薬遵守は測定されておらず、併存疾患による残余交絡の可能性がありました。GO-PIMとフレイルの関連は横断的であり、因果推論には限界があります。また、処方データは退役軍人省の薬局データのみであり、GO-PIMの有病率を過小評価している可能性があります。さらに、研究対象が主に男性であったため、婦人科がんに結果を一般化することは限定的です。