FDA、外部専門家による医薬品審査を廃止か 公開監視からの乖離を懸念する声

FDA、外部専門家による医薬品レビュー政策の放棄を検討

ドナルド・トランプ政権下のFDA幹部が、数十年来の外部専門家による医薬品申請レビュー政策の放棄を進めている。これにより、FDAの決定に対する国民の監視が弱まると懸念されている。

個別医薬品諮問委員会の「不要性」を主張するFDA幹部

FDA医薬品評価研究センター長のジョージ・ティドマーシュ氏は、個別医薬品に関する専門家パネルの招集・投票は「不要」であり、「冗長」であると述べた。同氏は、企業とFDA双方にとって「膨大な作業」であり、その時間と労力を「大きな問題に集中したい」と主張している。

諮問委員会の役割とAduhelmを巡る論争

FDAの諮問委員会は1972年の法律に基づき設立され、医薬品、ワクチン、医療機器の承認に関する証拠をレビューし、投票することでFDAの困難な意思決定を支援してきた。

しかし、2021年にはアルツハイマー病治療薬アデュヘルムの承認を巡り、委員会が「不承認」票を投じたにもかかわらずFDAが承認を決定し、大きな論争を巻き起こした。この事例は、産業界と患者からの圧力、そして厳格な評価との間でFDAが抱える葛藤を露呈させた。

透明性確保の代替策と批判

ティドマーシュ氏は、諮問委員会は医薬品の種類ごとの規制方法など「一般的な問題」については引き続き協議されるが、個別医薬品に関する会議は主に「国民がFDAの活動を見ることを可能にする」という点で有用だったと説明。

その上で、FDAが製品の不承認理由を企業に通知する「Complete Response Letters」の公開を開始したことで、諮問会議と同様の透明性が促進されると主張している。

元FDA職員や学者からの強い反論

これに対し、元FDA職員や学識経験者は強く反論している。彼らは、諮問会議はFDA科学者たちの意思決定を助け、医薬品規制に対する国民の理解を深めるものであり、その廃止は「意味をなさない」と指摘。

元FDA長官のロバート・カリフ氏は、FDA内部の専門家が最終決定を下す前に外部の専門家の意見を聞くことは「非常に有用」であり、国民が多様な視点を理解するためにも重要だと述べた。ペンシルベニア大学のホリー・フェルナンデス・リンチ教授は、専門家が企業やFDAが見落とす質問を投げかける可能性や、国民がFDAの決定について意見を述べる数少ない機会であることを強調した。

諮問委員会開催数の激減と懸念

実際に、トランプ大統領がホワイトハウスに再入って以降、FDAの諮問委員会開催数は激減している。昨年同時期の22回に対し、今年はわずか7回しか開催されていない。

一部の批判者は、FDAが伝統的な諮問委員会に代わり、長官の見解を支持する「厳選された科学者パネル」を利用していると指摘する。これは、マーティ・マカリー長官が過去に諮問委員会の重要性を訴えていたことと矛盾する動きである。

イェール大学医学部のレシュマ・ラマチャンドラン氏らは、諮問委員会の変更は、より冷静で、政治色の少ない公開の場で医薬品のリスクとベネフィットを議論する機会を失わせると懸念している。

南カリフォルニア大学のジュヌヴィエーヴ・カンター教授は、この決定が「機関内の権力集中」と「外部専門家や国民への説明責任の放棄」につながる戦略的なものである可能性を指摘している。

元記事:FDA Seeks To Abandon Expert Reviews of New Drugs