ヨーロッパのHIV対策、2025年目標未達と課題
ヨーロッパはHIV流行を逆転させるツールを持っているにもかかわらず、2025年の目標達成には至っていないと、欧州エイズ臨床学会(EACS)の年次会議で公衆衛生の専門家が警告しました。欧州疾病予防管理センター(ECDC)のテリムル・ヌーリ氏は、予防のギャップ、診断の遅れ、特に中東欧におけるケアへのアクセス格差により進捗が停滞していると述べ、医療現場におけるスティグマが主要な障壁であることを強調しました。
主要な課題と具体的な対策
ヌーリ氏は、以下の実践的なステップを推奨しています。
曝露前予防薬(PrEP)の拡大
ルーチン検査および救急部門でのオプトアウト検査の拡充
治療へのアクセス保証(不法移民を含む)
また、PLHIV(HIVと共に生きる人々)の95%が自身の状態を知り、その95%が治療を受け、さらにその95%がウイルス抑制されているという「95-95-95」ケアカスケードへの注力を促しました。WHO欧州地域全体では、治療を受けている人々のウイルス抑制率は目標を達成しているものの、PLHIV全体の抑制率は目標を下回っています。
地域別の現状と不均衡
WHO欧州地域(53カ国)には210万人のPLHIVがおり、その57%が東欧、40%が西欧、3%が中欧に集中しています。診断率は86%、治療率は診断者の86%、ウイルス抑制率は治療者の95%ですが、PLHIV全体のウイルス抑制率は70%に留まり、95-95-95目標が示唆する約86%には届いていません。
PrEPの利用:地域全体で最も活用されていない効果的なツールであり、利用は一部の国に集中し、女性や移民の間で特に低い状況です。
新規診断:東欧が新規診断の大部分を占め、新規症例の半数以上が診断が遅れています。これは特に男性に顕著で、診断の遅れは死亡リスクを8倍高めると指摘されています。
地域格差:西欧は概ね順調ですが、中欧は遅れ、東欧の状況はさらに悪化しています。多くの国で不法移民への治療提供がなされておらず、ケアから取り残されています。
スティグマと医療現場の課題
ヌーリ氏は、スティグマを「おそらく最も重要で、最も困難なギャップ」と呼びました。PLHIVの3分の1は家族に、5分の1は友人にHIV感染を伝えておらず、半数は差別を恐れて医療機関を避けています。ECDCの調査では、医療従事者の間でもスティグマのレベルが高いこと、PrEPの認知度が低いこと、守秘義務違反やPLHIVの治療を拒む同僚の存在が報告されています。
EACS副会長のミロス・パルチェフスキ氏は、特に中東欧での新規感染者と伝播の増加に触れ、今後5年間で「診断されていない人を診断し、予防できることを予防するために、努力を2倍または3倍にする」必要があると訴えました。
元記事:Europe Has the Tools — So Why Are HIV Targets Off Track?
