米国の介護施設におけるオピオイド処方の減少と人種・民族による格差

米国の介護施設におけるオピオイド処方の減少と人種・民族による格差

米国介護施設におけるオピオイド処方の傾向と人種・民族間の格差(2011年~2022年)

概要

2011年から2022年にかけて、米国の介護施設におけるオピオイド処方は全体的に減少しました。しかし、マイノリティ居住者は白人居住者に比べてオピオイドを処方される可能性が低く、また高用量のオピオイド(1日あたりのモルヒネ換算量50mg超)を処方される割合も低いことが明らかになりました。この傾向は、様々な慢性疼痛レベルの居住者に見られました。

調査方法

研究者らは、2011年から2022年までのメディケアの出来高払いデータ(100%)を使用し、介護施設に長期滞在する約290万人の居住者(平均年齢84.2歳)のオピオイド処方パターンを分析しました。評価項目には、90日間のオピオイド処方の有無と、1日あたりのモルヒネ換算量(MME)が50mgを超える処方の割合が含まれます。人種および民族はResearch Triangle Instituteアルゴリズムを用いて特定され、慢性疼痛の有無、軽度から中等度、重度の各グループでサブグループ分析が行われました。

主要な調査結果

オピオイド処方の全体的な減少: 介護施設居住者におけるオピオイド処方を受ける調整済み確率は、2011年の48.1%から2022年には33.5%に減少しました。

高用量処方の減少: オピオイドを処方された居住者のうち、1日あたりのMMEが50mgを超える割合は、2011年の25.1%から2022年には21.9%に減少しました。

人種・民族間の格差:

2022年までに、白人居住者はオピオイド処方を受ける調整済み確率が最も高く(48.4%)、MMEが50mgを超える割合も最も高かった(25.9%)です。

オピオイド処方はすべての人種および民族グループで減少しましたが、疼痛レベルにかかわらず、マイノリティ居住者は白人居住者よりもオピオイドを処方される可能性が低い傾向が見られました。

例えば、2022年におけるオピオイド処方確率は黒人居住者で66.6%に対し白人居住者では70.2%でした。また、MMEが50mgを超える割合はヒスパニック居住者で20.5%に対し白人居住者では28.7%でした。

臨床への示唆

著者らは、「重度の慢性疼痛を持つ居住者におけるオピオイドの減量は、疼痛が適切に管理されていることを確認するために評価されるべきである」と述べています。また、「本研究の結果は、介護施設居住者、特にマイノリティ居住者における現在の疼痛ケアが、症状を最適に管理し、居住者の目標や希望と一致しているかを評価する必要性を示している」と付け加えました。

研究の限界

居住者の治療希望を評価できなかった点、人種および民族に関する自己申告データが欠落している可能性、および研究がオピオイド関連のアウトカムに限定されている点が挙げられます。

出典

本研究は、カリフォルニア大学サンフランシスコ校のUlrike Muench博士らが主導し、2025年11月3日にJAMA Internal Medicine誌にオンライン公開されました。

元記事:Racial Variation in Opioid Prescribing in US Nursing Homes