重度の代謝性アシデミアと中等度から重度の急性腎障害(AKI)を呈する重症患者における炭酸水素ナトリウム点滴静注は、90日時点での全死因死亡率を低下させなかったが、腎代替療法の必要性を低下させる可能性が示唆された

重度の代謝性アシデミアと中等度から重度の急性腎障害(AKI)を呈する重症患者における炭酸水素ナトリウム点滴静注は、90日時点での全死因死亡率を低下させなかったが、腎代替療法の必要性を低下させる可能性が示唆された

研究概要

重症代謝性アシドーシス(pH ≤ 7.20)と中等度から重度の急性腎障害(AKI)を伴う重症患者において、静脈内重炭酸ナトリウム輸液は90日全死亡率を減少させなかったものの、腎代替療法(KRT)の必要性を低下させることが示されました。

方法論

フランスの研究者らは、重症代謝性アシドーシスと中等度から重度のAKIを伴う重症患者における重炭酸ナトリウム輸液の死亡率への影響を評価するため、臨床試験を実施しました。

  • 対象患者: ICU入室後48時間以内にSOFAスコアが4超、または動脈血乳酸値が2 mmol/L以上の患者。
  • 参加者: 627名の患者(中央値年齢67歳、男性59-62%)が対象。
  • 介入: 患者はICU入室後48時間以内に、以下のいずれかに無作為に割り付けられました。
  • 静脈内4.2%重炭酸ナトリウム輸液群(動脈血pH ≥ 7.30を28日までまたはICU退室まで目標)
  • 対照群(重炭酸ナトリウムなし)
  • 主要評価項目: 90日全死亡率。
  • 副次評価項目: 28日および180日全死亡率、臓器支持療法、血管作動薬または侵襲的機械換気の使用、ICU滞在、ICU獲得血流感染症、90日時点での主要な有害腎イベントなど。

結果

  • 90日全死亡率: 重炭酸ナトリウム群と対照群間で有意差はありませんでした(62.1% vs 61.7%; 絶対差0.4; P = .91)。
  • 腎代替療法(KRT): 28日までに、重炭酸ナトリウム群では対照群よりもKRTの必要性が低かった(35% vs 50%; 絶対差 -15.5%; 95% CI, -23.1% to -7.8%)。
  • 最初の28日間におけるKRT開始のリスクは、重炭酸ナトリウム群で対照群よりも約40%低かった(ハザード比0.59; 95% CI, 0.46-0.75)。
  • ICU獲得血流感染症: 重炭酸ナトリウム群で4%、対照群で9%発生しました。

臨床的意義

専門家は、「臨床医は、AKIの重症アシデミア合併症を管理するために短期間の静脈内重炭酸ナトリウム療法を使用することを選択できる。これは特定の患者でKRTを回避する可能性があり、有害事象のリスクを増大させるようには見えない」と述べています。

研究の限界

  • オープンラベルデザインが主な限界でした。
  • 重炭酸ナトリウムの投与量は検査結果や患者体重に基づいて計算されず、pH 7.30以上を目標に個別化されました。
  • 重炭酸ナトリウムのpH上昇作用が、腎代替療法開始決定における低pHの影響を軽減し、重炭酸ナトリウム群でのKRT開始を遅らせた可能性も指摘されています。

元記事:Sodium Bicarbonate Infusion Fails to Reduce Mortality in AKI