医療従事者が人道支援活動に身を投じる動機と、そこで直面する過酷な現実、そしてその後の影響について探る記事。
人道支援への動機付け
2005年、Michael Grady, DOはハイチの僻地での医療活動を経験し、米国での医療とは全く異なる「より実践的で挑戦的な」医療に魅了された。彼は引退した産婦人科医/救急医で、現在はInternational Medical Corps (IMC) のボランティアとしてガザやジャマイカなどの紛争・災害地帯で活動している。
Laurel Cassidy, PhD(看護師、MSFの精神保健活動マネージャー)は、ウクライナやミャンマーなどで戦争トラウマの心理士育成や基礎的なカウンセリングスキルを教えている。彼女は世界の苦しみの深さを感じつつも、精神保健医療への情熱が彼女を支えている。
IMCの緊急対応ユニット上級技術顧問であるJohn R. Roberts, MDは、ハリケーン・カトリーナ後のボランティア経験から「今すぐ助けが必要な状況で、苦しむか苦しまないかの違いを生み出したい」という思いを抱いた。
Gradyは、この分野に進む理由は「最も困窮している場所や人々のために違いを生み出せることへの途方もない満足感」にあると述べている。
直面する課題
人道支援活動では、以下のような困難に直面する。
- 過酷な生活環境: ガザのテントでの極端な温度差、エボラチームでのPPE着用による熱中症リスク、食料の制約。
- 個人の安全: 紛争地帯での爆発音、2021年にエチオピアでMSFスタッフ3名が殺害された事件など、命の危険。Cassidyはその事件後、その地域に戻らないと決意した。
- 精神的負担: Cassidyは、世界中で目にする少女や若い女性に対する性的暴力に心を痛めている。Robertsは、コンゴで手の施しようがなく亡くなった子供の経験を語り、「尽きることのない苦しみの激流」に直面する無力感を表現している。
- 特権の問題: 援助する側とされる側の生活水準の格差に直面し、帰国後に「自分たちの豊かさ」に罪悪感を感じることがある。Cassidyはバングラデシュの難民キャンプから帰国後、米国の食料品の豊富さに涙した経験を語る。
活動後の影響と回復
人道危機に対応する人々は、罪悪感や深い絶望感といった複雑な感情を抱くことが予想される。しかし、Thrive Worldwideの心理社会・ウェルビーイング責任者であるBen Porterは「間接的変革 (vicarious transformation)」がしばしば見過ごされがちだと指摘する。支援者は、破壊の中で人生を再建し、困難な状況で希望を見出し、あらゆる困難に打ち勝って癒されていく人々の「並外れた回復力」を目の当たりにし、それが深く感動的で、世界観を根本的に変えることがある。
Robertsもまた、「最も素晴らしいことは、助けることができる人々、そして共に助ける仲間たち」だと語る。
多くの支援者は、これまでに経験したことのない状況(資源の制約、未知の医療処置、苦しみの規模)で活動するため、帰国後には経験を処理する助けが必要となる。Porterは、トラウマ的経験に遭遇してもPTSDを発症する人は少数だが、「プロフェッショナルなデブリーフィングとフォローアップ」が重要であると強調する。MSFでは、展開前と帰国後に心理社会的リソースへのアクセスとデブリーフィングが義務付けられている。
Gradyは、愛する人々と経験を分かち合い、通常の生活に戻るために彼らに頼ることを勧める。症状が3~6ヶ月以上続き、日常生活に支障をきたす場合はセラピーも有効だとPorterは述べる。
困難にもかかわらず、この種の活動は深い意味と喜びをもたらし、Gradyの活動は彼を新しい人々や場所との出会いに導いた。Cassidyは自身の経験を「意味形成のための枠組み」と呼んでおり、世界の苦しみは広大だが、奉仕、癒し、そして喜びもまた無限であると締めくくられている。