フィンランドにおける糖尿病と糖尿病性腎臓病の管理課題
フィンランドでのリアルワールド臨床データにより、糖尿病および糖尿病性腎臓病の有病率が高いにもかかわらず、推奨される腎臓スクリーニングの未実施や治療の中止が多く、診断不足、不十分なモニタリング、および医療負担の増大が明らかになりました。
研究方法
フィンランドの研究者らは、2015年1月から2019年9月にかけて、526,526人の糖尿病成人(うち493,990人が2型糖尿病)を対象とした観察登録ベース研究を実施しました。HbA1c、腎機能(推算糸球体濾過量)、アルブミン尿(尿中アルブミン・クレアチニン比)の検査アドヒアランス、医療資源利用、およびSGLT2阻害薬のアドヒアランスと持続性を評価しました。
主要な結果
- 有病率と合併症の増加: 糖尿病の有病率は2012年の7.2%から2021年には9.9%に上昇し、腎臓病、心不全、心血管疾患による入院などの合併症も増加しました。
- 血糖コントロールと腎臓病の診断不足:
- 1型糖尿病患者のわずか29%のみがHbA1c目標(≤ 53 mmol/mol)を達成。
- 2型糖尿病患者の26%がeGFR 60 mL/min/1.73 m3未満であったにもかかわらず、慢性腎臓病の診断記録があったのは12%に過ぎませんでした。
- スクリーニングの不足: 患者は年間平均41.2回の医療機関受診があったにもかかわらず、尿中アルブミン・クレアチニン比検査の実施は年間平均0.3回と非常に低かったです。
- 低い検査アドヒアランスは暦年や高HbA1cレベルと関連し、高いアドヒアランスは高齢、男性、2型糖尿病、腎機能悪化と関連していました。
- SGLT2阻害薬の課題:
- SGLT2阻害薬は患者の19%に処方されましたが、29%が1年以内に中止しました。
- 中止した患者は腎合併症や心不全の発生率が高い傾向を示しました。
臨床への示唆
本研究データは、「糖尿病における意識向上とリスク管理の緊急の必要性」を強く示唆しています。
研究の限界と開示
アルブミン尿と腎機能の評価が単一測定に基づいていた点、併存疾患の評価が診断コードに依存し過小報告バイアスの可能性があった点、SGLT2阻害薬の持続性分析で併用薬が考慮されなかった点が限界として挙げられます。本研究はBayer Oyの資金提供を受け、複数の著者が資金提供機関の従業員であるか、企業との関係を報告しています。