薬剤耐性菌「NDM-CRE」の感染が400%超増加、治療選択肢が限られ生命を脅かすリスク高まる

薬剤耐性菌NDM-CRE感染が400%以上増加し、生命を脅かすリスク増大

米国では、危険な薬剤耐性菌であるNew Delhi metallo-beta-lactamase-producing carbapenem-resistant Enterobacterales(NDM-CRE)の感染が400%以上も急増しており、治療選択肢が限られる生命を脅かす病気や死亡のリスクが高まっていることが、最近の2つの報告書で明らかになりました。

NDM-CREの脅威と増加の実態

劇的な増加: CDCの疫学者であるダニエル・ランキン氏らは、「Annals of Internal Medicine」に発表された研究で、2019年1月から2023年12月までの5年間で、米国におけるNDM-CREが461%増加したことを報告しました。

治療の困難性: NDMは、米国では比較的稀な酵素であり、ほとんどの利用可能な抗生物質に耐性を持つため、感染症の治療を極めて困難にします。

CDCの警告: CDCの「Antimicrobial Resistance Threats Report」は、カルバペネム耐性腸内細菌科細菌を米国の公衆衛生に対する緊急の脅威と位置づけ、積極的な公衆衛生対策の必要性を強調しています。

感染拡大のリスク: NDM-CREの増加は、病院や長期療養施設など最も重症な患者が深刻な感染症にかかる可能性を高めます。また、尿路感染症のような一般的な感染症が、経口抗生物質では治療できず、静脈内投与や入院が必要になるなど、地域社会への広がりも懸念されています。

臨床実践への影響と推奨事項

治療戦略の変更: CREおよびNDM-CREの疫学を監視することは、感染症の治療方法や医療施設での感染対策の実施方法を変える上で極めて重要です。

検査の重要性: 医療従事者、検査技師、薬剤師はNDM-CREの脅威を認識し、臨床検査のワークフローにNDMの検査を含めるべきです。

治療薬: 現在、NDM-CREに対して有効な薬剤は、セフタジジム・アビバクタムとアズトレオナムの併用、およびセフィデロコルのみです。

感染管理: 高度な耐性病原体を持つ患者を特定し、適切な感染管理を遵守することが、CREや他の抗生物質耐性菌の拡散を遅らせる上で不可欠です。

専門家への相談: 疑われる、または確定されたCRE感染患者に対しては、感染症専門医への相談を強く推奨しています。

ニューヨーク市での急増と背景

地域的な急増: CDCの「MMWR」に掲載されたデータによると、ニューヨーク市ではNDM-CREの症例が2019年の58件から2024年には388件へと大幅に増加しました。

KPCからの転換: 2024年には、NDM陽性CRE症例数が、これまで米国で最も一般的だったKPC陽性CRE症例数を上回りました。

増加の要因: COVID-19パンデミック後の世界的な旅行の増加、抗生物質の不適切な使用、パンデミック期間中の病院や長期療養施設における感染予防策の崩壊などが、増加の要因として指摘されています。

  • 今後の研究: CREの伝播メカニズム、感染予防策、最適な治療戦略をより明確にするための追加研究が必要です。

元記事:Rise of Resistant Bacteria Challenges Infection Control