MSDのがん免疫療法薬「キイトルーダ」皮下投与版、ドイツ市場での流通差し止めに

ドイツ裁判所、MSDの皮下注射型がん免疫療法「キイトルーダSC」の流通を一時差し止め

ドイツのミュンヘン裁判所は、MSDが開発した皮下注射型がん免疫療法「キイトルーダSC(Keytruda SC)」(ペムブロリズマブおよびベラヒアルロニダーゼアルファ)のドイツ市場での流通を差し止める仮処分を決定しました。この決定は、MSDとHalozymeの間で係争中の特許訴訟における新たな展開です。

訴訟の焦点:Halozymeの特許侵害主張

Halozymeは、先月EUで承認されたキイトルーダSCが、同社が保有する欧州特許(No. 2 797 622)を侵害していると主張しています。訴訟の焦点となっているのは、Alteogenが開発したベラヒアルロニダーゼアルファ成分です。この成分は、多量の薬剤を投与可能にし、皮膚からの分散と吸収を改善する目的で組み込まれています。Halozymeは、この成分が、薬剤送達に改変ヒトヒアルロニダーゼを使用する同社のMDASEプラットフォームに関する特許の範囲内にあると主張しています。

MSDの反論と国際的な訴訟

一方、MSDはHalozymeの特許が広範すぎるとして、その無効化を試みています。両社は、米国でも皮下注射型キイトルーダ(米国では「Keytruda Qlex」として承認)を巡って互いに提訴し合っています。

キイトルーダSCの利点と戦略的意義

キイトルーダSCは、医療従事者による投与が必要ですが、従来の30分間の静脈内(IV)点滴と比較してわずか数分で投与が完了します。これにより、患者の「椅子に座っている時間と治療時間」を約半分に短縮できるとMSDは説明しています。

キイトルーダはMSDの最大の売上を誇る薬剤であり、今年最初の9ヶ月間で230億ドルの売上を記録しています。しかし、静脈内投与版の特許保護は2028年以降に失効し始めるため、皮下注射型は患者の利便性を高めるだけでなく、バイオシミラーの登場後もフランチャイズの特許保護期間を延長する戦略的な意味合いを持っています。

現状と今後の見通し

ドイツの患者は引き続きオリジナルの静脈内投与版キイトルーダを利用できますが、現時点ではキイトルーダSCの利用はできません。Halozymeは声明で、仮処分決定は上訴可能であるものの、自社の主張が通ると確信していると述べています。また、MSDが8月に提起したHalozymeの特許に対する訴訟は、ドイツ連邦特許裁判所で係争中であることも指摘しています。

MSDはまだこの仮処分に関する声明を発表していませんが、上訴すると予想されています。

なお、ブリストル・マイヤーズスクイブの「オプジーボ(ニボルマブ)」やロシュの「テセントリク(アテゾリズマブ)」など、競合するがん免疫療法もHalozymeの技術を用いた皮下注射版が承認されています。

元記事:Setback for MSD as German court blocks Keytruda SC launch