GPのAI利用:指導不足と規制の遅れで「ワイルドウェスト」状態
英国の一般開業医(GP)の4分の1以上(28%)がAIツールを診療で使用しているものの、適切な指導や規制が不足しており、「ワイルドウェスト」のような状況に直面していると、英国王立総合診療医大学(RCGP)が警鐘を鳴らしました。RCGPは、AIに関する国家政策が急速な技術変化に追いついておらず、患者の安全と医療格差の拡大への懸念を示しています。
AI利用の現状とばらつき
AIツールの利用にはばらつきが見られます。
- 性別: 男性GP(33%)が女性GP(25%)よりもAIを使用する傾向にあります。
- 地域: イングランドが最も利用率が高く(31%)、次いでウェールズ(28%)、スコットランド(20%)が続き、北アイルランドは最も低い(9%)です。
- 社会経済状況: 社会経済的に恵まれない地域のGPは、より裕福な地域のGPよりもAIを使用する可能性が低い(27% vs 35%)です。
- ツールの入手元: 13%のGPが診療所提供のツールを、11%がChatGPTなど独立して入手したツールを、4%が両方を組み合わせて使用しています。35歳未満のGPは、年長の同僚よりも独立したAIツールを使用する傾向があります。
AIの利点とリスク
AIは主に残業時間の削減や事務負担の軽減に利用されています。
- 57%が臨床記録・メモ作成に利用
- 45%が専門能力開発に利用
- 44%が事務作業に利用
AI筆記者は、患者との対話の質を向上させ、アクセスしやすい診療記録を作成する方法と見なされています。
しかし、GPはキャリアの全段階で、患者の安全、専門的責任、データプライバシーと同意、医師と患者の関係、デジタル排除について懸念を表明しています。アラン・チューリング研究所の別の調査では、多くの医師がAIに肯定的である一方で、3分の1近く(32%)が関連するリスクを完全に理解していないと感じていることが分かりました。
指導と規制の遅れ
RCGPは、GPのAI利用が現在、診療所、プライマリケアネットワーク、統合ケアボード(ICB)によって策定された地方政策の「郵便番号宝くじ」によって左右されていると警告しています。一部のICBはAIの使用を禁止している一方で、他のICBは試験的な導入と安全な採用を積極的に奨励しています。
RCGPの議長は、GPがAIの利用方法について決定を下す際に「盲目的に進んでいる」と述べ、全国レベルで規制されていない「ワイルドウェスト」のようなツールに直面していると指摘しました。回答者の84%が規制監督の欠如を懸念しており、これがAIを使用しないGPの3分の2を思いとどまらせている可能性が示唆されています。
英国医薬品・医療製品規制庁(MHRA)はAIのNHS導入を加速するための全国委員会を立ち上げましたが、RCGPは一貫した全国的な指導、より良い研修、モデル精度の向上、実践レベルでのテストと学習の支援が緊急に必要であると提言しています。AIは医療提供を改善する可能性を秘めているものの、保護措置がなければリスクを伴うため、患者の安全とデータ保護が最優先されるべきだと警告しています。