消防士の防護服に発がん性化学物質が含まれる可能性を指摘する研究
新しい研究により、消防士が着用する一部の防護服(ターンアウトギア)に、深刻な健康リスクと関連する化学物質が含まれている可能性が示されました。この研究は、Environmental Science & Technology Letters誌に12月16日付けで発表されたものです。
研究の背景と目的
消防士の防護服は、火炎を遅らせるために化学物質で処理されています。これまで、撥水・撥油のためにPFASが広く使用されてきましたが、PFAS曝露ががんやその他の健康問題と関連付けられることから、多くの州が2027年からのPFAS処理ギアの購入を禁止する法律を可決し、メーカーはこれらの化学物質を段階的に廃止しています。この状況を受け、PFASに代わる化学物質が何であるかという疑問が生じました。
デューク大学のHeather Stapleton教授らは、PFASフリーと謳われている防護服に、既知の毒性を持つ臭素系難燃剤が含まれているか、また使用中にどの程度放出されるかを詳細に調査しました。
研究方法と主な発見
研究チームは、2013年から2020年に製造された9セットと、2024年に製造されPFASフリーとして販売された3セットの計12セットの防護服をテストしました。各ギアは、外殻、防湿層、内層の3層に分けられ、含まれる化学物質とその使用中の移行可能性が調べられました。
PFASの検出: 古いギアからはPFASが検出されましたが、2024年製ギアからはほとんど検出されず、新しいギアがPFASを避けているという主張を裏付けました。
臭素系難燃剤の普遍的な検出: しかし、テストされた全てのギアセットから臭素系難燃剤が検出され、多くの場合、そのレベルはPFASよりも高かったです。
PFASフリーギアでの高濃度: 特にPFASフリーと表示されたギアの防湿層で、臭素系難燃剤のレベルが最も高かったことが判明しました。これは、メーカーがPFASの代替として臭素系難燃剤を意図的に追加している可能性を示唆しています。
主要な化学物質DBDPE: 最も頻繁に検出された化学物質はデカブロモジフェニルエタン(DBDPE)でした。米国ではあまり研究されていませんが、2019年の中国の研究では、DBDPE曝露と製造業労働者の甲状腺問題との関連が報告されています。Stapleton教授は、DBDPEが世界的に段階的に廃止された有毒化学物質デカBDEと類似の特性を持つことに懸念を示しています。
- 曝露源: 古いギアの外殻に高レベルの化学物質が見られたのは、火災時の煙や煤によるものと考えられますが、ギア内部からの検出は製造過程での選択が原因であることを示しています。
懸念と提言
研究者たちは、これらの化学物質が消防士にどの程度吸収され、長期的な健康影響がどのようなものであるかはまだ不明であると述べています。しかし、防護服は高価であり、長期間使用されることから、この発見は重要です。
研究共著者であるN.C.州立大学のR. Bryan Ormond教授は、消防署がギアの維持または交換にかかる金銭的および個人的な安全コストの両方を考慮する必要があると指摘しています。Stapleton教授は、現在ではPFASも臭素系難燃剤も含まないギアを提供している企業もあるとし、消防署が使用する装備の透明性をより強く要求するよう促しています。消防士は職務上、多くの危険から複数の化学物質に曝露されているため、防護服からの追加的な化学物質曝露を心配する必要はないと強調されています。
元記事:Study Finds Cancer-Linked Chemicals in Some Firefighter Gear