武田薬品のオベポレキストンがFDAの優先審査を開始
武田薬品のナルコレプシー治療薬「オベポレキストン」が、米国食品医薬品局(FDA)による優先審査の対象となりました。これにより、今年第3四半期には承認の可否が決定される見込みです。
ナルコレプシー1型(NT1)への画期的なアプローチ
この新薬承認申請(NDA)の受理により、オベポレキストンは、カタプレキシー(突然の筋緊張喪失)を伴うナルコレプシー1型(NT1)に対して承認される初のオレキシン作動薬となる可能性が高まっています。武田薬品によると、この薬剤は選択的オレキシン受容体2(OX2R)作動薬であり、睡眠障害におけるオレキシン産生ニューロンの欠乏とオレキシンシグナル伝達の障害という根本原因に対処するように設計されています。承認されれば、症状を単に治療するのではなく、NT1の根底にある原因に対処する市場初の薬剤となります。
開発の道のりと期待
武田薬品のオレキシン作動薬プログラムは、2021年に主要候補薬であるTAK-994が第2相試験で肝毒性の兆候を示し中止された際、危機に瀕しました。しかし、武田薬品はNT1に特化してオベポレキストン(TAK-861)の開発に注力することで、FirstLight(TAK-861-3001)とRadiantLight(TAK-861-3002)の2つの第3相試験で肯定的な結果を得ることができました。これらの試験では、プラセボと比較して、覚醒度、過度な日中の眠気、カタプレキシー、注意維持能力、全体的な生活の質、日常生活機能の改善が示されました。開発範囲をNT1に絞ったにもかかわらず、武田薬品はオベポレキストンに高い期待を寄せており、過去には年間ピーク売上高が20億ドルから50億ドルに達する可能性を示唆しています。
市場の課題と武田薬品のコメント
米国だけでも推定10万人のNT1患者がいるとされていますが、多くが未診断または誤診されているため、市場に参入した場合、対象患者層へのアクセスが課題となるでしょう。武田薬品の研究開発部門社長であるアンディ・プランプ氏は、「FDAが当社のNDAを受理したことは、ナルコレプシー1型と共に生きる人々にとっての画期的なマイルストーンです」と述べています。「高いアンメットニーズを考慮すると、このコミュニティは、NT1の原因である根本的なオレキシン欠乏に、オレキシンシグナル伝達を回復させることで対処する、新しく異なる治療アプローチに値します。」
今後の展開と競合
オベポレキストンは中国でも申請されており、日本でもローリング申請が進行中です。武田薬品は、NT2(ナルコレプシー2型)や特発性過眠症を対象としたTAK-360など、他のオレキシン作動薬も開発しています。また、他社では、Alkermesがアリキソレキストン(旧ALKS 2680)を第2相試験で、エーザイがE2086を第1b相試験で開発するなど、複数の企業がナルコレプシー向けオレキシン作動薬の開発に取り組んでいます。