Moderna、in vivo CAR-T分野へ参入し、新たな治療法を開発
Modernaは最新のR&Dアップデートで、in vivo CAR-Tという先駆的なカテゴリーへの参入を発表し、研究開発能力に新たな治療クラスを追加しました。
リード候補「mRNA-6007」の概要
in vivo CAR-Tプログラムのリード候補として「mRNA-6007」を指名しました。これは自己免疫疾患におけるB細胞枯渇を目的としており、最初のターゲットとして全身性エリテマトーデス(SLE)が選ばれています。
in vivo CAR-Tの革新性と利点
ex vivo CAR-Tとの比較: 血液がん治療を革新したex vivo CAR-Tとは異なり、in vivo CAR-Tは患者自身の細胞を採取、改変、培養するといった高コストで時間のかかるプロセスを必要としません。
リンパ球除去の回避: 治療前に骨髄を破壊する強力なリンパ球除去療法が不要なため、高齢者や虚弱な患者の適格性を広げることができます。
作用機序: in vivo CAR-Tは、Modernaのプラットフォームでは脂質ナノ粒子(LNP)に封入されたmRNAを患者に直接注入し、体内の循環T細胞を改変して疾患原因細胞を認識・破壊させます。自己免疫疾患の場合、自己抗体を産生し、抗原提示細胞として機能し、炎症を促進するサイトカインを分泌するB細胞を標的とします。
スケーラビリティと再投与性: このアプローチは、CAR-T細胞療法を大規模に、より幅広い患者層で利用できる「オフザシェルフ」治療に変革する可能性を秘めています。また、ex vivo CAR-Tの効力が時間とともに低下する傾向があるという証拠があるため、容易に再投与できるin vivoモダリティは効果の維持に役立ちます。
Modernaのアプローチの優位性
Modernaの治療法研究担当最高科学責任者であるLin Guey氏は、Modernaのアプローチが他のin vivo CAR-Tプラットフォームと比較して、細胞内および複合タンパク質を標的とする能力、および標的T細胞内で複数の遺伝子または経路を同時に編集する能力など、いくつかの利点があると述べています。mRNA-6007は、スケーラブルなin vivo CAR-Tモダリティを解き放つための「先駆的プログラム」であり、他の自己免疫疾患や腫瘍学への応用も計画されています。
前臨床データと今後の展望
動物研究では、in vivo CAR-Tが非ヒト霊長類の脾臓で用量依存的なB細胞枯渇を達成し、肝臓毒性の証拠がないことが示されています。現在、ヒトでの試験に向けた治験薬(IND)研究が進行中です。Guey氏は、「in vivo CAR-Tは、病原性B細胞免疫をリセットするためのスケーラブルで制御可能な方法であり、ModernaのmRNAプラットフォームは自己免疫分野をリードする独自の立場にある」と付け加えています。
広範な治療モダリティ戦略
Modernaの最高経営責任者であるStéphane Bancel氏は、in vivo CAR-Tへの進出は、mRNAワクチン、がん免疫療法、希少疾患治療薬における既存の事業を超えて、複数の新しい治療モダリティに拡大する戦略の一部であると述べています。
Modernaは、多発性骨髄腫向けのT細胞エンゲージャー(TCE)であるmRNA-2808(BCMA、GPRC5D、FcRH5を標的とする)の臨床試験も開始しており、初期データに基づき、卵巣がん向けの第2候補であるmRNA-2151を本格的な開発に進め、来年にはヒトでの試験を開始する予定です。
Bancel氏は、データ、AI、機械学習、ロボット工学を活用して発見を加速し、短期的な成長を実現しながら、次世代のmRNA医薬品を世界中の患者に提供するために継続的に改善していると強調しました。