極端な暑さが低所得高齢者の救急外来(ED)利用増加と関連、社会経済的格差が浮き彫りに
調査概要
ケースコントロール研究により、極端な暑さが、低所得で人種的・民族的マイノリティを主に受け入れるセーフティネット病院(ED-1)の65歳以上の成人におけるED利用増加と関連していることが判明しました。一方、主に白人の民間保険患者を受け入れるED(ED-2)では関連は見られず、熱関連医療における社会経済的格差が浮き彫りになりました。
方法論
2022年から2024年にかけて、2つの都市部EDで治療を受けた65歳以上の患者34,651人を含む55,200件のED受診が対象となりました。
ED-1(n=15,092):平均年齢74.9歳、女性56.95%、白人47.8%。主にメディケイド加入者、人種的・民族的マイノリティを対象。
ED-2(n=19,559):平均年齢74.9歳、女性55%、白人61.9%。主に白人の民間保険加入者を対象。
研究者は、極端な熱曝露と日々の全原因ED受診件数の関連を評価しました。患者の性別、年齢、自己申告による人種・民族、保険の種類に関するデータは電子カルテから取得され、日最高熱指数(HImax)値および熱指数(HI)異常値も分析されました。
主要な知見
ED-1におけるED利用の増加:
ED利用のオッズは66°Fを超えると有意に増加し(オッズ比[OR], 1.10; 95% CI, 1.01-1.21)、101°Fでピークに達しました(OR, 1.24; 95% CI, 1.11-1.39)。
日中の暖かいHImax異常値でもED利用のオッズは増加し、平均より15-18°F高いHImax異常値の日で統計的有意性が見られ、平均より21°F高いHImax異常値の日でピークに達しました(OR, 1.13; 95% CI, 0.99-1.30)。
ED-2における関連の欠如:
熱とED利用の間に有意な関連は見られませんでした。
平均より16-21°F高いHImax異常値の日には負の関連が観察されました。
感度分析および層別分析の結果は、これらの主要な知見と一貫していました。
臨床的意義
著者らは、「これらの知見は、社会経済的に脆弱な集団を対象とするEDで有意な熱関連健康リスクが観察されたことを示唆しており、個別の熱波警報戦略についてさらなる研究が検討されるべきである」と述べています。
研究の限界
単一モニターからのHI値への依存による曝露の誤分類および生態学的誤謬の可能性。
湿球黒球温度など、他の熱指標が評価されていない。
繰り返し受診の除外なしによる選択バイアスの導入の可能性。
- 単一の都市医療システムに焦点を当てたことによる知見の一般化可能性の限界。
発表元
本研究はニューヨーク大学グロスマン医学部のEvan Siau医師らが主導し、2026年3月20日にJAMA Network Open誌にオンライン掲載されました。
元記事:Extreme Heat May Increase ED Visits in Some Older Adults