非嚢胞性線維症気管支拡張症(NCFB)治療薬の新たな進展
米国および欧州において、非嚢胞性線維症気管支拡張症(NCFB)に対する承認済み治療薬は現在、Insmed社のBrinsupri(一般名:brensocatib)のみですが、英国のスタートアップ企業Infex Therapeuticsが新たな治療薬候補「RESP-X(INFEX702)」でその座を追撃しています。
NCFBの現状とBrinsupri
NCFBは、炎症と感染のサイクルにより気道壁が肥厚・損傷し、繰り返し増悪(悪化)を引き起こす衰弱性の高い疾患です。これにより抗生物質治療や入院が必要となるケースが多く、未充足の医療ニーズが高い分野です。
Insmed社のDPP1阻害剤であるBrinsupriは、1日1回経口投与される錠剤で、昨年FDAによってNCFB初の治療薬として承認されました。その後、英国およびEUでも販売承認され、Insmedは年間50億ドルの売上を見込むブロックバスター候補と位置づけています。
Infex TherapeuticsのRESP-X:フェーズ2a試験の有望な結果
Infex Therapeutics社のRESP-Xは、肺に細菌Pseudomonas aeruginosa(Pa、緑膿菌)が定着しているNCFB患者を対象としたフェーズ2a試験を完了しました。この試験では、初期の有効性の兆候を示すとともに、安全性、薬物動態、免疫原性の目標を達成しました。
安全性と忍容性: RESP-Xは安全で忍容性が良好であり、その有効性を減衰させる可能性のある免疫反応の兆候は見られませんでした。
有効性: Pa陽性NCFB患者における増悪率の低下が確認されました。
作用機序: RESP-Xは抗PcrV抗体であり、Paが細胞に毒素を注入する際に「分子シリンジ」として機能するPaの構造タンパク質を標的とします。これは「抗病原性」療法として説明されています。
投与計画: 治療に伴う重篤または生命を脅かす有害事象(TEAEs)はなく、副作用による試験中止患者もいませんでした。高用量(10 mg/kg)での体内半減期は28.8日と算出され、これは年4回の点滴投与計画を支持するものです。
Infex社の最高経営責任者であるピーター・ジャクソン博士は、これらの結果を同社にとって「重要なマイルストーン」と述べ、Paに感染したNCFB患者、特に承認された予防的治療選択肢がないこの集団にとって「希望をもたらす」ものだと強調しました。同社は今後、有効性を示すための大規模試験の設計について規制当局と協議を開始する予定です。
競合状況と今後の展望
Brinsupriに対する競合も活発で、Boehringer Ingelheim(verducatib)やChiesi/Haisco Pharma(HSK31858)がDPP1阻害剤として後期臨床開発段階にあります。
また、Infex社と同様にPaを標的とするアプローチとして、Armata Pharmaのバクテリオファージベースの薬剤AP-PA02がフェーズ2試験段階にあります。その他、Sanofiの抗IL-33抗体itepekimab(フェーズ3)やChiesiのヒト好中球エラスターゼ阻害剤CHF-633(フェーズ2)など、多様な候補薬が開発パイプラインに控えています。