集団登録はケベック州の家庭医を助けているのか?

ケベック州では長年、家族医の深刻な不足に直面しており、政府が導入した最新の解決策が問題の解決にはならないと医療システム関係者は指摘しています。

GAPプログラムと「集団登録」の問題点

2023年5月、ソニア・ベランジェ保健大臣は、50万人の新規患者登録目標を達成したと発表しました。これらの患者は「Guichet d’accès à la première ligne (GAP)」プログラムを通じて登録されました。GAPは、家族医や専門看護師がいない患者のためのプライマリケアアクセスポイントを提供するものです。

しかし、モントリオールの家族医であるネボイシャ・コバシナ医師によると、ほとんどの患者はクリニックに「集団登録」されただけであり、個別の担当医は割り当てられていません。 その結果、多くの患者が診察までに数週間から数ヶ月待つ状況が続いています。

医師と患者への影響

医師への負担: 医師は長期的な関係構築のために訓練されているにもかかわらず、継続性のない短期的な診察を強いられ、複雑な病状や慢性疾患の適切な管理が困難になっています。

医療の二層化: 新卒医師は「最善のサービスを提供する」という訓練と「集団登録」による現実との間で板挟みになり、プライマリケアに「二つの速度」を生み出しています。

コストの増加: 継続性のない患者は、より多くの検査や受診が必要となり、医療費が高くなる傾向があります。

継続性(Continuity)の重要性

セントマイケルズ病院のタラ・キラン医師やケベック州家庭医大学の代表であるエリーズ・ブーランジェ医師は、「継続性」がプライマリケアの機能において不可欠な柱であると強調します。

医療成果の向上: プライマリケア提供者との良好な関係は、健康状態の改善、システムコストの削減、医師の満足度向上につながります。

効率性の低下: 継続性がなければ、診察のたびに病歴の再確認や状況の再構築が必要となり、非効率的です。

チームケアの可能性と課題

ブーランジェ医師は、チームケアは継続性を「補完」するものであり、「代替」するものではないと述べます。

安定性の問題: チーム内の他の専門職はシステムによって雇用されるため、離職率が高く、チームの安定性が損なわれがちです。

トレーニングのギャップ: 看護師などの専門職がプライマリケアに完全に訓練されておらず、現場でのトレーニングが必要です。

成功事例:District Medicalクリニック

モントリオールのDistrict Medicalの医療ディレクター、サブリナ・マノリ医師は、自身のクリニックがGAPプログラム開始以前から多職種連携で機能していると説明します。

多職種連携の利点: 50人以上の家族医、専門医、看護師、薬剤師などが協力することで、集団登録患者も断片化することなく対応できています。

個別フォローアップ: 継続的なケアが必要なGAP患者に対しては、医師が判断して個別のフォローアップに移行させています。

GAPプログラムの課題: クリニックが直面する問題は、GAPモデル自体ではなく、その実行にあります。GAP紹介患者のカルテ履歴がないことや、クリニックが責任を負うべき患者の完全なリストがないことが挙げられます。

今後の展望

マノリ医師は、完全な患者リストがあれば、看護師や医師が連携して50歳以上の患者に対するスクリーニングを促すなど、より積極的な予防的アプローチが可能になると期待しています。

コバシナ医師は、短期的な解決策ではなく、オンタリオ州のプライマリケア行動計画のような、10年先を見据えたビジョンと専門職間の連携が必要であると訴えています。

元記事:Is Collective Registration Helping Quebec Family Physicians?