WHO「世界口腔健康行動計画」と欧州の口腔健康優先事項
アイルランドの歯科最高責任者であり、欧州口腔健康向上プラットフォームの議長を務めるDr. Dympna Kavanaghは、WHOの「世界口腔健康行動計画(2023-2030)」の実施における欧州の課題と優先事項について語った。
計画実施の障壁とEUの役割
WHOの野心的な計画は歓迎されるものの、欧州内の口腔健康における深刻な格差が最大の障壁となっている。EUはWHO内での強い発言力を持ちながらも、口腔健康に関してそれを十分に活用しておらず、EUレベルでの一貫した提唱が、グローバルな目標を各国政策に落とし込むために不可欠である。
口腔健康と全身健康の連携
口腔健康は伝統的に他の身体の健康と切り離されて考えられてきたが、過去10年のエビデンスは、糖尿病や心血管疾患といった非伝染性疾患(NCDs)との密接な関連性を示している。タバコ、アルコール、砂糖摂取、不健康な食生活といった共通のリスク要因を持つだけでなく、口腔健康の悪化はこれらの疾患を悪化させる可能性もある。「口腔健康なくして健康なし」というWHOのメッセージは、政策立案者や一般市民への強力な説得材料となる。
格差削減と脆弱なコミュニティへのアクセス
欧州口腔健康向上プラットフォームは、口腔健康が社会的剥奪の明確な指標であると認識し、格差解消に重点を置いている。予防は費用対効果が高く(1ユーロの投資で最大7ユーロの治療費を節約)、口腔健康診査、エビデンスに基づいたアドバイス、フッ素化、フッ素入り歯磨き粉の推奨、砂糖摂取量の削減、砂糖税の導入といった基本的かつ予防的なサービスが重要である。文化・経済的理由で歯科受診が困難な脆弱なグループには、歯科医院外での情報提供も必要である。
政策的レバーと一次医療への統合
口腔健康の不平等を減らし、手頃な価格で提供するための政策的レバーは、経済(予防への資金提供)、人材改革(歯科専門職の役割拡大)、規制(必須ケアへの焦点)に集約される。特に、歯科医療における人手不足の解消と、美容目的ではなく必須ケアへの資源集中が求められる。
WHO戦略の核である一次医療への口腔ケア統合は、欧州で進んでいる。例えば、歯科医院での血圧測定や血糖値評価、COVID-19ワクチン接種への歯科専門家の参加、タバコ禁煙アドバイスなどが挙げられる。しかし、歯科が主流の医療から孤立してきた歴史があるため、文化的な変化が必要である。
政策立案者へのメッセージングとステークホルダーの役割
口腔健康のアドボカシーは、既存の政治的優先事項(例:心血管疾患、タバコ規制)と連携し、歯科コミュニティ外にも響く言葉(費用削減、生活の質、雇用、社会的参加)を使用する必要がある。口腔健康は精神健康、社会的包摂、健康的な高齢化など、日常生活の不可欠な一部として位置づけられるべきである。
口腔健康分野における患者や市民の強い声の欠如は課題であり、専門協会、学術機関、そして患者自身が、口腔健康の重要性を提唱する上で重要な役割を果たす。
国連ハイレベル会合への優先事項
国連ハイレベル会合において、口腔健康が非伝染性疾患アジェンダに明確に認識されることが最優先事項である。また、タバコ、アルコール、砂糖摂取といった共通のリスク要因が宣言で扱われ、欧州がこれらの分野で強力な基準を維持することにコミットすることが、国家レベルでの進展を促す政治的勢いとなる。
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元記事:“Oral health needs to be presented as an integral part of everyday life, not as a separate issue”