ガバペンチン処方の急増と高齢者における安全性への懸念
米国では過去10年間でガバペンチンの処方箋が急増し、2024年には全国で5番目に多く処方される薬剤となりました。CDCの研究によると、処方箋数は2010年の約2400万件から2024年には約5900万件に、患者数は570万人から1550万人以上に増加しています。
高齢者と女性での顕著な増加
FDAによって部分発作、帯状疱疹後神経痛、むずむず脚症候群に承認されているガバペンチンは、他の慢性疼痛に対して広く適応外処方されています。この処方増加は特に高齢者と女性で顕著であり、2024年には65歳以上の患者が若年成人の2倍以上の割合で処方されていました。
高齢者における安全性リスク
専門家は、高齢者へのガバペンチン処方について強い懸念を示しています。マサチューセッツ総合ブリガムの老年医学医アワイス・アラム医師は、「ガバペンチンは、年齢関連のリスクと有害作用の集合体のため、高齢者にルーチンで処方されるべきではない」と述べています。
- 重篤な呼吸困難: 単独での致死的な過量摂取は稀ですが、呼吸器疾患のある患者やオピオイドとの併用では重度の呼吸困難を引き起こす可能性があります。
- 転倒・せん妄リスク: 多くの臨床医はガバペンチンを「良性」と見なし、転倒やせん妄のリスクを過小評価し、腎用量制限や中止基準を適用しない傾向があります。
- 薬物蓄積と毒性: ガバペンチンは腎臓で代謝されるため、加齢による腎機能低下は薬物の蓄積と毒性につながる可能性があります。
- 副作用: 神経認知機能低下、せん妄、歩行不安定や転倒などの運動障害が含まれます。
処方増加の背景と課題
処方増加の背景には、オピオイド回避の圧力、非オピオイド鎮痛薬の選択肢の少なさ、多忙なプライマリケアでの時間的制約などが挙げられます。一度処方されると「処方慣性」が生じ、効果が薄くても患者が服用を続けるケースも多いと指摘されています。
慎重な処方と代替療法の検討
アラム医師は、高齢者へのガバペンチン処方は、個々のリスク要因を徹底的に評価し、最低有効用量を選択し、神経認知機能と身体機能の低下を注意深くモニタリングした上で実施すべきと強調しています。特に術後の鎮痛剤開始時には、「少量からゆっくりと」という老年医学の原則に従うべきです。また、ガバペンチンとオピオイドの併用は、入院およびオピオイド関連死亡のリスク増加と関連しており、高齢者にはより安全性の高い代替療法を検討することが推奨されています。
