心不全患者における気温と死亡リスク
心不全(HF)患者において、短期間の低温および高温への曝露は、全死因および心血管疾患による死亡率の増加と関連していることが示されました。特に高温に関連するリスクは時間とともに上昇しています。
研究方法
スウェーデンの心不全患者250,640人を対象に、2006年1月から2021年12月までの全死因死亡データを分析するケースクロスオーバー研究が実施されました。
対象患者の死亡時の平均年齢は84.3歳で、48.3%が女性でした。
日平均外気温は1x1kmの空間解像度で評価され、市町村ごとのパーセンタイルで示されました(低温は2.5パーセンタイル、高温は97.5パーセンタイル)。
短期曝露は、死亡前0~6日間の累積気温として定義され、死亡率が最も低い最低死亡率温度と比較されました。
主要評価項目は、全死因死亡率および心血管疾患死亡率でした。
主要な発見
全死因死亡率は、最低死亡率温度と比較して、低温曝露で有意に高く(オッズ比[OR], 1.130; 95% CI, 1.074-1.189)、高温曝露でも有意に高い(OR, 1.054; 95% CI, 1.017-1.093)ことが示されました。
高温に関連する死亡リスクは、2014年から2021年の期間に増強されました(OR, 1.082; 95% CI, 1.029-1.138)。
心血管疾患死亡率に関しては、低温は一貫してリスク上昇と関連していましたが(OR, 1.160; 95% CI, 1.083-1.242)、高温との有意な関連は2014年から2021年の期間にのみ観察されました(OR, 1.084; 95% CI, 1.014-1.159)。
特定の患者層において、温度への感受性の違いが認められました。
低温に脆弱:男性、糖尿病合併患者、利尿薬使用者。
高温に脆弱:心房細動または粗動合併患者、高レベルのオゾンに曝露された患者。
臨床的意義と考察
研究者らは、「時間の経過とともに高温に関連する死亡リスクが上昇していることは、伝統的に熱に脆弱とされてこなかった高緯度地域においても、タイムリーな適応策の重要性を強調している」と述べています。本研究の結果は、気候変動と高齢化の傾向が熱関連死亡率の増加を促すという気候-死亡率予測とも一致しています。
限界
本研究の限界として、屋外気温が特に屋内で過ごすことが多い高齢患者の個人曝露を誤分類する可能性があること、観察研究であるため気温が直接死亡を引き起こすことを意味するものではないこと、駆出率データが不足しており心不全の表現型による評価ができなかったことなどが挙げられます。
資金提供と開示
本研究は欧州連合のHorizon 2020研究革新プログラムから資金提供を受けています。
