陽性FIT検査を受けた患者がフォローアップ大腸内視鏡検査を受けられない現状

陽性FIT検査を受けた患者がフォローアップ大腸内視鏡検査を受けられない現状

FIT検査と大腸内視鏡検査後の追跡調査の現状

背景と目的

初回の大腸内視鏡検査でポリープ切除を受けた患者、または受けていない患者の双方において、追跡サーベイランスとして便潜血検査(FIT)が頻繁に実施されています。しかし、FITが陽性であった場合でも、推奨される大腸内視鏡検査を受けない患者が多いことが課題となっています。本研究は、この現状を大規模な米国研究で評価し、ポリープ切除歴の有無がFIT結果や追跡内視鏡検査の遵守に与える影響を明らかにすることを目的としました。

研究方法

ミネソタ大学のNatalie J. Wilson博士らは、2000年から2024年にかけて大腸内視鏡検査を受けた約480万人の退役軍人健康管理局(Veterans Health Administration)のデータを評価しました。初回内視鏡検査後10年以内のFIT検査の実施状況、FIT陽性率、およびFIT陽性後の追跡内視鏡検査の実施率を分析しました。

主要な研究結果

FIT実施状況: 患者の10.9%が初回内視鏡検査後10年以内にFITを受けていました。そのうちの約半数(49.9%)は初回内視鏡検査でポリープ切除を受けていました。

FIT陽性率: FIT陽性率は、ポリープ切除歴のある患者で17.2%、ない患者で14.1%でした。ポリープ切除歴はFIT陽性の予測因子でした(オッズ比[OR], 1.12; P < .0001)。

追跡内視鏡検査の遵守率: FIT陽性であった患者のうち、推奨される追跡内視鏡検査を受けたのは、ポリープ切除歴のある患者で50.4%、ない患者で49.3%と、ポリープ切除歴の有無にかかわらず約半数に留まりました(P = .001)。

追跡内視鏡検査までの期間: ポリープ切除歴のある患者の方が、追跡内視鏡検査を受けるまでの期間が長く(2.9ヶ月 vs 2.5ヶ月; P < .001)、遅延が見られました。

追跡内視鏡検査での検出率: FIT陽性後の追跡内視鏡検査では、ポリープ切除歴のある患者の方が、管状腺腫(54.7% vs 45.8%)、絨毛腺腫(5.6% vs 4.7%)、異型度が高い腺腫(0.8% vs 0.7%)、鋸歯状病変(3.52% vs 2.4%)、進行性大腸腫瘍(9.2% vs 7.9%)、大腸がん(3.3% vs 3.0%)の検出率が全般的に高くなりました。

ポリープ切除歴とがん・進行性腫瘍の独立した予測性: しかし、ポリープ切除歴は、大腸がん(OR, 0.96; P = .65)または進行性大腸腫瘍(OR, 0.97; P = .57)の独立した予測因子ではありませんでした。

結論

これらの結果は、FIT陽性結果が、ポリープ切除歴の有無にかかわらず、進行性腫瘍や大腸がんの高いリスクを伴うことを強調しています。また、FIT陽性後の追跡内視鏡検査の遵守率が低いことが明らかになりました。

専門家のコメント

ミシガン大学の消化器・肝臓内科部長であるWilliam D. Chey医師は、FIT陽性患者が追跡内視鏡検査を受けない割合が約50%であることは「我々が専門職として直面する最大の課題の一つ」であると指摘しました。その原因として、費用、教育、言語などの要因を挙げました。Chey医師は、便検査はスクリーニングの「第一段階」に過ぎず、陽性であれば必ず追跡内視鏡検査を行う必要があると強調しました。「そうでなければ、便検査は無価値である」と述べています。

元記事:FITs ‘Of No Value’ Without Proper Follow-Up