地中海食は過敏性腸症候群(IBS)の患者にとって最良の第一選択肢か?

地中海食は過敏性腸症候群(IBS)の患者にとって最良の第一選択肢か?

地中海食が過敏性腸症候群(IBS)の症状軽減に有効

英国で実施されたランダム化臨床試験により、地中海食が過敏性腸症候群(IBS)患者の症状重症度を軽減する上で、従来の食事指導に対し非劣性かつ優越性を示すことが明らかになりました。この結果は、地中海食がIBSに対する「実行可能な第一選択の食事介入」となり得ることを示唆しています。

研究の背景と目的

IBSは世界人口の5%〜10%に影響を及ぼし、慢性的な腹痛、膨満感、便通異常を引き起こします。症状が食事に関連することが多いため、多くの患者が食事療法を求めています。現在のガイドラインでは、まずバランスの取れた食事や刺激物の制限といった伝統的な食事指導が推奨され、その後、特定の発酵性炭水化物を制限する低FODMAP食が検討されます。しかし、低FODMAP食は複雑で費用がかかり、社会的制限も多く、専門家の指導を要する場合があります。対照的に、地中海食は実践しやすく、栄養バランスが優れており、心血管疾患や精神的健康への利点も証明されているため、有望な代替手段と考えられていました。

本研究は、地中海食がIBS症状の改善において、伝統的な食事指導と少なくとも同等に効果があるかを検証することを目的としました。

研究方法

研究には、IBSのローマIV診断基準を満たす成人139人(平均年齢40歳、女性80%)が参加しました。ベースラインのIBS症状重症度スコア(IBS-SSS)は平均309点でした。参加者はランダムに2つのグループに割り当てられました。

  • 地中海食群(68人):果物、野菜、豆類、全粒穀物、魚、オリーブオイルを豊富に含む食事。
  • 伝統的な健康的な食事指導群(71人):従来のバランスの取れた食事と刺激物の制限。
  • 両グループは、栄養士によるオンラインセッションでそれぞれの食事法について学び、6週間の介入を受けました。

主要な研究結果

6週間の研究期間終了時、以下の結果が報告されました。

  • 臨床的に意味のある改善: 地中海食群の62%がIBS-SSSで臨床的に意味のある50点以上の減少を達成したのに対し、伝統的食事指導群では42%でした。この20パーセントポイントの差は統計的に有意であり(P = .017)、地中海食が伝統的食事指導に対し非劣性だけでなく優越性も示しました。
  • 平均IBS-SSS減少: 地中海食群の平均IBS-SSS減少は-101点であり、伝統的食事指導群の-65点よりも有意に大きかった(P = .034)。
  • サブグループ分析: 中等度または重度のIBS患者が地中海食から最も恩恵を受けました。
  • その他の評価項目: 気分、身体症状、QOL、食事満足度にはグループ間に統計的有意差はありませんでしたが、地中海食は腹痛の頻度をより大きく減少させました。
  • 研究者らは、地中海食がFODMAPが豊富な食品(穀物、果物、野菜、豆類など)を含むにもかかわらず症状を改善したことから、そのメカニズムは不明であると指摘しています。

専門家の見解と今後の課題

マサチューセッツ総合病院の消化器専門医であるAshwin Ananthakrishnan医師は、本研究のデータに基づき、IBS患者に地中海食を推奨することは「間違いなく合理的」であると評価しました。しかし、本研究が低FODMAP食と比較を行っていないことを「重要な注意点」として挙げ、地中海食と他の有効な食事介入を比較するさらなる研究の必要性を強調しました。また、IBSのような慢性疾患においては、6週間以上の長期的な効果を検証する必要性も指摘されています。

結論

地中海食はIBS患者の症状軽減において、伝統的な食事指導よりも優れていることが示され、IBSに対する実行可能な第一選択の食事介入となる可能性があります。

元記事:Is the Mediterranean Diet Best First-Line Option for IBS?