Epic Research:大規模データによる迅速な医療研究とその課題
Epic Researchは、電子カルテ大手EpicのCosmosデータベース(1800病院、41,000診療所のデータを含む)を活用し、迅速かつ大規模な医療研究を実施しています。この研究は、査読プロセスを経ずに、同社のウェブサイトで直接公開されます。
研究のメリット
データ規模と速度: Cosmosの膨大なデータセットにより、従来の学術研究よりも迅速かつ広範な分析が可能です。例えば、ハリケーン後の副鼻腔感染症の研究では、大学が約1万件の患者情報を評価するのに対し、Epicは4000万件以上を評価できました。
政策・実践への影響: フェンタニル過剰摂取患者の検査不足に関する研究が州法改正につながるなど、具体的な医療政策や臨床実践に影響を与える事例があります。
アクセシビリティ: 研究はペイウォールなしで提供され、専門家だけでなく一般の人々にも理解しやすい形式で公開されます。
バイアスの軽減: 大規模なデータセットを用いることで、地域、性別、人種に基づくバイアスを軽減し、サブグループ分析の信頼性を高めることができます。
懸念点と課題
査読の欠如: 独立した査読がないため、研究の厳密性、信頼性、監視体制について疑問が呈されています。学術界の多くの研究者は、査読なしの研究を信頼していません。
潜在的リスク: フロリダ大学の研究者であるArch Mainous III博士は、査読は研究の信頼性を保証する「ガードレール」であり、速度を優先することで「人々に有害な情報」が拡散するリスクがあると指摘しています。
- 外部検証の不在: Epic Researchの内部検証プロセスは存在するものの、外部の専門家による独立した検証がない点がデメリットと認識されています。
査読システムの現状と補完的役割
査読システム自体も、遅延、高コスト、欠陥の見逃し、偏見などの課題を抱えています。しかし、Epic Researchの研究は、KFFやCDCといった非営利団体や政府機関との共同研究も行い、従来の査読付き研究や臨床試験研究を補完する存在として位置づけられています。平均約1ヶ月で研究が実施・公開されるその迅速性は、タイムリーで関連性の高い情報提供を可能にしています。
