β-ラクタム系を用いない術前抗菌薬予防投与は術後感染リスクと関連 – Medscape – 2025年11月10日

β-ラクタム系を用いない術前抗菌薬予防投与は術後感染リスクと関連 – Medscape – 2025年11月10日

非β-ラクタム系抗菌薬による術前予防が手術部位感染のリスク増大と関連

研究概要

スイスの175医療機関から348,885人の患者を対象としたレトロスペクティブコホート研究により、主要手術前の抗菌薬予防投与における非β-ラクタム系抗菌薬の使用が、β-ラクタム系抗菌薬の使用と比較して手術部位感染(SSI)のリスク上昇と関連するかを評価しました。

対象患者: 348,885人(中央年齢63.2歳、女性56.3%)

抗菌薬:

β-ラクタム系: 342,936人(セフロキシムまたはセファゾリン)

非β-ラクタム系: 5,949人(シプロフロキサシン、バンコマイシン、またはクリンダマイシン)

投与タイミング: 全ての抗菌薬は切開前120分以内に投与。

主要評価項目: 30日以内(インプラント関連処置では1年以内)のSSI発生。

主要な知見

全体的なSSI発生率: 患者全体の2.8%がSSIを発症しました。

群間比較: 非β-ラクタム系群でのSSI発生率は6.1%であり、β-ラクタム系群の2.8%と比較して有意に高かった(P < .001)。

リスク比: 非β-ラクタム系予防投与は、β-ラクタム系予防投与と比較して、SSIのリスクが約1.8倍高かった(調整オッズ比[aOR], 1.78; P < .001)。

手術タイプ別: 非β-ラクタム系予防投与は、全ての手術タイプにおいてSSI発生率の上昇と関連しており、特に表層切開感染で最も顕著な関連が認められました(aOR, 2.16; P < .001)。

  • 非β-ラクタム系薬剤別: 非β-ラクタム系薬剤の中では、クリンダマイシンが最も高いリスク(aOR, 2.12)を示し、次いでシプロフロキサシン(aOR, 1.57)、バンコマイシン(aOR, 1.38)でした。

臨床的意義

これらの結果は、β-ラクタム系抗菌薬による予防投与が可能な限り優先されるべきであることを示唆しています。自己申告または不十分に記録されたβ-ラクタムアレルギー患者では、非β-ラクタム系SAP投与前に慎重な評価が必要です。

限界

本研究は後方視的であり、糖尿病、周術期血糖値、免疫抑制などの潜在的な交絡因子を捕捉できませんでした。また、β-ラクタムアレルギーの有無や施設プロトコルに関する情報が不足しており、非β-ラクタム系抗菌薬選択の根拠が不明瞭でした。解析対象を5種類の抗菌薬に限定し、他の抗菌薬や併用療法を受けた患者を除外したことも、研究の一般化可能性に影響を与える可能性があります。

元記事:Non-Beta-Lactam Prophylaxis Tied to Surgical Infection Risk