エピジェネティック変化は遺伝子発現を制御するが、エピジェネティクスを制御するものは何か?

エピジェネティクスの謎を解明:遺伝子がDNAメチル化パターンを指示する

生物の細胞は同じ遺伝子配列を持つ一方で、細胞の種類ごとに遺伝子発現を制御するエピジェネティックな化学修飾が異なります。これらの修飾の異常は、植物や動物において重篤な発達障害を引き起こす可能性があります。これまで、エピジェネティックな変化が遺伝子を制御する仕組みは知られていましたが、何がエピジェネティクス自体を制御しているのかという疑問が残されていました。

Salk研究所の科学者たちは、植物細胞(シロイヌナズナ)を用いた研究で、主要なエピジェネティックタグであるDNAメチル化が、遺伝的メカニズムによって制御されることを発見しました。これは、DNAメチル化が他のエピジェネティックな特徴によってのみ制御されるという従来の理解を覆す大きなパラダイムシフトです。

新しいDNAメチル化ターゲティングメカニズム

研究チームは、植物の生殖組織を調査し、特定のDNA配列に依存する新たなDNAメチル化ターゲティングモードを発見しました。

  • RIMs(REPRODUCTIVE MERISTEM (REM) 転写因子の一部)と呼ばれるタンパク質が、特定のDNA配列にドッキングします。
  • RIMsはCLASSY3というタンパク質と協働し、DNAメチル化酵素を近隣のDNA配列に誘導してメチル基を付加させます。
  • これにより、RIMsの異なる組み合わせを発現する生殖組織で、ユニークなメチル化パターンが生成されることが実証されました。

これは、植物において、DNA自体がエピジェネティックなプロセスであるDNAメチル化を駆動できることを初めて特定した発見です。

研究の意義と今後の展望

DNAメチル化パターンの誤りは、植物や動物の発達異常、哺乳類ではがんを含む多くの疾患につながるため、その制御メカニズムの理解は極めて重要です。今回の発見は、細胞機能の修復や強化を目的とした将来のエピジェネティック工学戦略に大きく貢献する可能性があり、医療や農業における幅広い応用が期待されます。

元記事:Epigenetic changes regulate gene expression, but what regulates epigenetics?